内容説明
“ヒデさん”こと元大蔵官僚の広橋秀彦を「あなたは私のライフワークだった」と慕い、大疑獄事件をスクープしたジャーナリストの草壁明夫が殺された。三人の悪党のうち“ピスケン”阪口健太、“軍曹”大河原勲は、持ち前の度胸、体力を使い独自に動き出したが、広橋が選んだ行動とは―。そして、三人についに別れが訪れる。「きんぴか劇場」終演で、感動に包まれる第三巻!
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京生まれ。’95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、’97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、’06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞・司馬遼太郎賞、’08年『中原の虹』で吉川英治文学賞、’10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、’16年『帰郷』で大佛次郎賞を受賞。「蒼穹の昴」「プリズンホテル」などのシリーズでも多くの読者を魅了している。2015年紫綬褒章受章、2019年菊池寛賞、2020年日本歴史時代作家協会功労賞受賞。日本ペンクラブ第16代会長。この作品「きんぴか」は、著者の実質的デビュー作である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
237
終幕に向けて重さや儚さといったものの比重が高くなる。ピスケンと軍曹は相も変わらずな感じの中、広橋の背景が強く打ち出される。『真夜中の喝采』の殴り込みシーンのハチャメチャぶりなど、コメディ要素も健在ではあるが、前巻の解説や、この巻のあとがきにもあるように、『裏街の聖者』がとにかく秀逸。ここに来て尾形がこんなかたちで再登場して、しかもこれほど格好良く描かれるとは、まさに予想の斜め上。しかし、終わりの訪れがあまりにも急で尻切れトンボ。三人が顔を合わせないままに去っていくのは、ちょっと残念だった。2023/06/07
ケイ
88
この表紙の男をだれか救ってやってよ。子供を返してやってよ。こんなお父様、素敵じゃないのよ。そして、逃げ出したあの男は、連れ戻しましょう。背負わせましょう。最後は親分たちがみんな持ってったね。戦後の貧しい中では、いろんなドラマがうまれたもんだ。浅田さんの任侠シリーズは、ほんと、たまんない(旅行中にオーディブルで)2024/09/18
優希
49
終盤に近づくにつれ、重さや儚さを感じました。笑、涙、快感の物語で最高の作品だったと思います。3人はいつか別れるときが来ると思ってはいましたが、現実となるとちょっと寂しいです。何はともあれこいつらが仇討ちか!というくらい面白かったです。2023/07/01
かずぼう
36
『チェスト軍曹』西郷さんの大ファンの私、大いに惹かれたが、あの時代がそのまんまもキツい、女性蔑視だし。でもラストに救われてホッ、良かった、そうだよね。『一杯のうどんかけ』人間の私利私欲、そこまでするかって話でした。2024/07/23
ヨーイチ
34
全三巻終了。ドタバタとしては勿論面白い。基本的に各章単独で読んでよし。冗談の振れ幅が大きいので注意。言葉遣い、形容を楽しめ。数ページに一回は笑えるので電車読書には注意。小生には懐かしいけど風俗、人情、流行がわからないと、面白さも減っちゃう。病院とか治療を活劇にしちゃったってのは斬新な着想だと思う。映像化もされているが、上記の面白さを考えると半端な映像化は疑問。何でも有りのアニメの方が向いている気がする。勿論監督の思想の深さによるけど。ここら辺に文章表現の真髄があったりする。小生にとっては「良い本」だった。2024/10/20