感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
135
1年ぶりの鬼役!第33弾最新刊は『初心』ときた。読み初めはなんだかん~ん・・ページを捲る手が進まない。これはもう私の心が揺れないのかなんて思いつつ。ところがどっこい、義弟の幼馴染が絡んでくる頃にはどっぷり浸って、くぅ~やっぱり「影鬼」だろうが何だろうが蔵人介じゃないとね。って感じなのだ。砕かれた肩をしっかり直して更に進む道はひたすらに修羅道なのだろうが、それこそが「世の木鐸たれ」だ。それにしても待った1年は長い。2023/05/02
KAZOO
95
鬼役シリーズも33巻目になり、今までの主人公の本来の役割のお毒見役を子息に譲ることになりますが、裏の役割はまだ続くことになりそうです。中編と短篇があるのですが最初の方では、ハリソン・フォード主演の海外の映画を思い出してしまいました。薬種をめぐる話があるのですがやはり公儀の悪がからんでいます。また後半では主人公が短筒で撃たれてしまいますが生き延びます。水戸藩がからむ話になっています。2024/10/08
やま
60
幕臣随一といわれる田宮流抜刀術の達人である矢背蔵人介の活躍の物語です。矢背蔵人介は、長らく務めてきた御膳奉行の任を解かれ、小姓頭取格奥勤見習を拝命し、影鬼として、密命により幕臣の不正を断つ暗殺役という裏の顔があります。なお、御膳奉行は、蔵人介から養子の矢背卯三郎へ。公方家慶の尿筒持ち役を務める公人朝夕人の土田家は、伝右衛門から養子の伝蔵へと代替わりしていきます。元鬼役と鬼役の義理の親子による悪党成敗の物語です。2023/06/30
えみ
44
またしても満身創痍。どこまでも自分の正義に従う。例えその正義が自らの命を奪うことになっても…。長年勤めた将軍家毒味役を息子の卯三郎に譲り、今は小姓頭取格奥勤見習いの「影鬼」となった矢背蔵人介。相変わらず神がかった刀技で悪人に徹底責任を追及する一方、己にも厳しく、常に問い掛ける。「本当にその密命の判断は正しいのか」忠義を重んじる江戸時代に上の者に意見する潔癖さは危うく見えるがそれが蔵人介の強さの秘訣なのだろう。卯三郎も強さは本物。ただ、真実を見極める力と命に従い成敗をする経験を積むまで蔵人介は支えてほしい。2024/12/29
ひさか
24
2023年4月光文社時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ33作目。隻眼禅師、纏う血、木鐸たれかし、の3つの連作短編。前作がよくわからない展開だったのに対して、今作は鬼役を離れたところにきっちり焦点をあてたため、分かり易い。隻眼禅師は不気味な話が続き従来とは違った展開で少し驚いた。3話目はいつもの展開に。次作はどう展開するのか?楽しみです。2023/05/30