内容説明
覚醒剤密輸の罪により、マレーシアで死刑判決を受けた小河恵。何故、海外でこんな事態に陥ってしまったのか?東北の小さな町に生まれ、東京に出て准看護婦をしていた恵は、借金返済のために夜はホステスをして稼ぐようになっていた。そんなとき、病院の同僚、鹿沼好江からある人物を紹介され、生活が一変する…。究極のバタフライエフェクト小説が登場!
著者等紹介
石井光太[イシイコウタ]
1977年、東京生まれ。国内外の貧困、戦争、災害、事件などをテーマに執筆活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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toshi
44
2019年の長篇小説。舞台は2012年のマレーシア。日本人女性、小河恵は覚醒剤の密輸の容疑で捕まり、死刑を宣告されます。幼馴染みである新聞記者が恵を助けだそうとしますが、そこには様々な困難が立ちはだかります。物語は現在と過去を章ごとに繰り返す体裁を取っており、ストーリーに臨場感をもたらさせてくれます。私は早見和真氏の傑作「イノセント・デイズ」と山田宗樹氏の名作「嫌われ松子の一生」を想起しました。ラストがやや尻切れトンボで終わるのは賛否両論あるかと思いますが、こういうエンディングもアリかなと思いました。2025/05/13
mincharos
20
クアラルンプール空港で覚醒剤所持で逮捕されたメグミは、密輸犯として死刑判決を受ける。彼女と小学校時代に同級生だった新聞記者の幸介は彼女を救うべく調査を始める。純くんが可哀想過ぎてー!でもそんな境遇にも負けず、まっすぐ育っていてすごい!メグミがそりゃあもうはっきりしない性格で、、そんな流されてちゃだめよーーって思いながら読んでたけど、読み進めるうちにそんなメグミを応援したい気持ちになる。最終的にはメグミを助けてくれる人もちゃーーんといてくれて。人に優しくしてこれからも生きていきたいなぁ。面白かったです!!2024/11/29
Yusuke Kitada
1
負の連鎖で、死刑囚になってしまった女性の生涯を追うような話。フィクションではなあるが、現実にありそうな話だと感じた。2023/06/28
bookcustomer
0
その女性がヤクの運び屋をして、マレーシアで逮捕され無期懲役の刑の執行がネットの記事にありましたが、外国人と付き合い、海外に旅行をして数十万円の報酬が貰えるとヤクの運び屋にされてるという教養が認識がなかったのかと思うが、その逮捕される前に数回旅行してますが、それは上手くいき逃れられたということですが、その逮捕された女性が青森県の五所川原出身で看護婦をし、キャバクラにも勤め、また小さい頃に慕い、一緒に遊んだその親戚の女性が実際の自分の母親だったそうで、またその親戚の女性が自分の本当の母がもう自殺してますが
ノト
0
優れた多作のルポライターの作品で、フィクションと知らずに手に取った。かつて好きだった某ルポライターの物した小説がとんでもない駄作だった経験があり、ルポとフィクションを書く技量は必ずしもイコールではない事を念頭に読んだ。が、見事な作品だった。ミステリー仕立てのストーリーは単純ではあるが、地域格差・経済格差・貧困・虐待・親子関係等々、筆者のこれまでの膨大な取材に裏打ちされた圧倒的なリアリティと破綻のない人間群像は素晴らしく読み応えがあった。他のフィクションも読みたいし、ルポの新作も休む間もなく出版されている。2025/02/05