内容説明
過疎化が進み、観光資源もないわが村。村おこしの秘策は「桜前線を断ち切って村に留めてしまおう」だった。成功すれば一年じゅう桜が咲くはずだ。(「円い春」)雄太郎には生まれたときから母がいない。技師である父親は、彼のために「義母」を作るのだが…。(「義師」)ぶっ飛んだ設定とまったく先の読めない展開。ショートショート界に爆風を吹き込んだ異才が放つ22編!
著者等紹介
洛田二十日[ラクダハツカ]
新潟県新潟市出身。早稲田大学文化構想学部卒業。大学卒業後は放送作家事務所に所属し、テレビ、ラジオ番組の構成作家として活動。第2回ショートショート大賞にて応募作「桂子ちゃん」が大賞を受賞。2018年ショートショート作品集『ずっと喪』でデビュー。以降も短編を中心に作品を発表中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おかだ
27
タイトルのセンスが好きで手に取った一冊。表題をこれにしたのは内容如何ではなく響きとインパクトで決めたんだろなと。そう思うくらい表題作「ずっと喪」が霞む勢いで全部ぶっ飛び過ぎていたショートショートの連打だった。よくこんな事思い付くよな。不意に浮かんだ突飛なアイデアをよくこんな物語に仕上げられるよな。と感心しきりでありました。面白いとか味わうとか通り越して、作者の脳内奇想天外すぎじゃね?と惚れ惚れする作品群。推し作はパックマンと泳ぐやつとペレットのやつ。2024/08/06
Kanonlicht
22
現実にはあり得ないシチュエーションをここまで面白く読ませるのは、題材と言葉のチョイスがずば抜けて秀逸だからだと思う。ややもすれば「やりすぎ」と感じてしまうようなギリギリのラインを巧みに攻めている。ショートショートというサイズ感がまたちょうどいい。巻末の対談では、一時期こうした話を千本ノックのように書いていたと語っていて、さすが構成作家と感心した。確かに芸人がネタをつくるのと似ているところがあるのかもしれない。2023/03/04
一華
14
奇々妙々2023/06/12
fabi@第一芸人文芸部
11
めちゃくちゃ面白い!ショートショート大賞を受賞して作家になった洛田二十日さんのデビュー作。奇想天外な設定が多く「どうやって思いついたの?」と唸るものばかり。天才だわ。それぞれの話をまとめあげる筆力もすごい。最後までオチが読めないものばかり。特に好きだったのは『桂子ちゃん』『初恋ファガール』『もっと糠糠と泳げ』『あとは鼻を待つだけ。』『あとがき』。巻末の洛田さんとAマッソ加納さんの対談も最高だった。ちなみに洛田さんは構成作家としても活躍中で、多数のライブや番組を担当している。2024/08/12
水底 のも
6
面白かったー!こういう感想が正解か分からないけど、某コンビのコントを思い出した。「日常のなかの非日常ではなく、非日常のなかの日常を描く」そういうタイプの短編集だと思う。ほっこりしたり、クスッとしたり、ゾクッとしたり情緒が忙しい。いろいろなタイプかつ「どうしたらこんな世界観が思いつくのだろう」というような、そんな短編集でした。お気に入りは「ペレットを吐く」と表題作「ずっと喪」2025/02/21