内容説明
女性二人を殺したとして逮捕された小野宮楠生。逮捕後「誰を殺そうと俺の自由だろ」と開き直った供述をし、身柄送検時には報道陣にピースサインし、大騒動となった。「小野宮楠生を救う会」から依頼され弁護を引き受けることになった宮原貴子は、小野宮と接しているうちに独特の違和感を覚える。違和感の根源は何か―。総毛立つラストが待つ傑作が待望の文庫化!
著者等紹介
まさきとしか[マサキトシカ]
1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作に選ばれる。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fwhd8325
81
前半と終盤にかけてで、作品の雰囲気が変わったように感じました。そして、東野さんの「白夜行」を思い出しながら読んでいました。面白いです。でも、やっぱり似てる。2023/02/22
アッシュ姉
68
面白かったんだけど、どうしてもあの作品と比較してしまい勿体なかった。ということで、次は積読本から東野さんをセレクト!2023/06/29
えみ
67
そうか…皆それぞれ欠如しているんだ。必要以上のものを持って進めるほど余裕はないし、執着も無いのだろう。生きる為にわざと切り捨ててきたものが今、幻痛となって悲劇の連鎖が起きたのだ。被害者、加害者のみならず、弁護士や依頼人、そして全ての関係者達の隠された残酷さは、取り返しのつかない後悔と喪失感を生み「不幸」という後遺症だけが残される。女性を殺害した罪で逮捕された男は反省の色なし。人を小馬鹿にした発言や開き直った態度をとり続ける…がしかし何かがおかしい。自分勝手な望みは、浅はかで空虚だ。純粋な愚かさに震えた。2022/10/16
ま~くん
59
付き合っていた女性を殺害した翌日には、雑居ビルの清掃員の女性を撲殺した容疑で逮捕。連行時にマスコミのカメラの前でピースサインをし、「誰を殺そうと俺の自由だ」と嘯く正真正銘の屑、小野宮楠生。弁護する宮原貴子は小野宮と接見するが、開口一番「糞ババァは嫌いだ」と悪態をつかれる。最悪死刑、よくて無期懲役。しかし、小野宮は突然清掃員殺しは否認に転じる。証言の変遷に違和感を覚えた宮原は小野宮の生い立ちを探る内にある事実に辿り着く。宮原の結末の行動は賛否両論だろう。面白かったが、若干「白夜行」の焼き直しに感じたような。2023/05/30
ワレモコウ
55
元カノの山本若菜を殺害し、ビルの清掃員の女性を撲殺した容疑で逮捕された小野宮楠生。連行の時に、カメラの前でピースサインをしたり、「誰を殺そうと俺の自由だ」と発言したりするクズ男の弁護を引き受けることになった宮原貴子。実体の掴めぬ楠生の言動に違和感を覚えた貴子は、根本からこの事件を調べ直す。 迎えた結末は、とても救いのないものだった。最終的に貴子が下した決断よりも、途中の貴子の不用意な言動に腹が立った。読みやすく、一気読み。2023/08/23
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- 和書
- 事件の年輪 文春文庫