内容説明
小料理屋「桜川」に、南町奉行所の沢村伝次郎を訪ねて海苔問屋の主夫妻が相談に来た。店の女将で伝次郎の妻・千草は夫妻を伝次郎に伝え、伝次郎は消えた十三の息子を探してほしいという主夫妻の依頼を受けた。その後に起きた殺しの調べの傍ら、探索を続けた伝次郎が掴んだ意外な真相とは―。情に厚い「南町奉行の隠密」の傑作シリーズ、感動が待つ第九弾。
著者等紹介
稲葉稔[イナバミノル]
1955年熊本県生まれ。脚本家、放送作家などを経て、’94年作家デビュー。2020年、光文社文庫「隠密船頭」シリーズが第9回日本歴史時代作家協会賞文庫書き下ろしシリーズ賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
67
南町奉行・筒井和泉守政憲の求めに応じて、奉行の私的な内与力として、奉行所の探索に係わることとなった元定廻り同心、沢村伝次郎の人情剣戟物語です。日本橋堀留町で海苔問屋を営む「磯松」の主、茂兵衛の息子の清吉が誘拐された。その頃、茂兵衛の義理の弟、栄助が、獣肉を食べている村では、脚気に罹る人が少ないことに気が付いて、イノシシなどの獣肉の骨を粉にして脚気の薬を作ることを思いつく。その研究に関わっていた万作を研究が上手く行きだしたらのけものにした。それを知った万作が、栄助の顔が分からなくなるまで撲殺する。→2022/09/20
ひさか
24
2022年7月光文社時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ9作目。海苔問屋の息子が消え、千草が伝次郎に捜索を依頼する。という珍しい滑り出しで始まるが、探索と解決はいつものノリでありました。2023/02/05
犀門
2
No.069★★★☆☆突然姿を消してしまった息子を探して欲しい…って直に訴えてきた海苔問屋の夫婦がまず胡散臭かった。そして、その裏では店主の僻みが原因でのアレコレ。まぁ、雨白いには面白かったけど、いやはや…。2022/09/14
goodchoice
2
伝次郎の地道な取り調べの姿勢が好きだ。今回も千草に役割が振られ、大事な脇役となっている。2022/09/11
Suzu
1
隠密船頭シリーズ第9弾。海苔問屋磯松の13歳の一人息子清吉が行方不明となる。結局は幼稚な大人の悪ふざけがおおごとになっただけ。個人的には皆さん甘いですなと感じる。沢野と関村を逃がしたことも、与兵衛とおようを許したことも。私だったら、まるく収めましょうなんて絶対しないけど。心が狭すぎか?そして次巻に進む。2023/09/26