内容説明
将軍家毒味役の矢背蔵人介は御用之間に呼び出しを受ける。毒味役の裏で暗殺御用を引き受けてきたが、指令役の小姓組番頭・橘右近の死後、遠ざかっていたその部屋にいた人物から、なんと御役御免を言い渡される。家督を養子の卯三郎に引き継ぎ、新たな役目を引き受けた蔵人介は、新たなる江戸城内の陰謀に巻き込まれてしまう―。超人気シリーズ、待望の第三十二弾。
著者等紹介
坂岡真[サカオカシン]
1961年、新潟県生まれ。11年の会社勤めを経て文筆の世界へ。花鳥風月を醸し出す筆致の時代小説を描く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
142
待っていた。外伝が始まったのでクロスするまで待つのか・・と半ば諦めてもいた。そこでの今回は継承と来た!遂に家督を卯三郎に引き継いだ蔵人介だが、なんですと?影鬼だと?密命ですと?無理筋としか言えない内容とは?次回が楽しみだ。継承は蔵人介だけじゃなく、如心尼も然り、そしてなんてことだ。伝右衛門が・・伝右衛門がいないのは寂しい。あぁ、次を早く読みたい。 2022/05/20
KAZOO
85
今回はこの副題にもあるように、今までの主人公たちが一線から退いていく様を描いています。鬼役である主人公が、毒見役を義理の息子の譲って暗殺役のみの仕事になっていきます。また公人朝夕人であった人物も息子が出てきたりして今回は最後になります。如心尼もいなくなりかなり登場人物が変わってきます。このシリーズも終局に入ったということなのでしょうか?先祖の話がまだ若いのでそちらがメインになるのでしょうか?2024/09/27
やま
77
幕臣随一といわれる田宮流抜刀術の達人である矢背蔵人介の活躍の物語です。将軍の毒味役である御膳奉行の蔵人介には、他に密命により幕臣の不正を断つ暗殺役という裏の顔が。なお、密命を下す者が、元大奥の上臈御年寄、如心尼から若き辣腕の老中阿部伊勢守正弘に。御膳奉行は、蔵人介から養子の卯三郎へ。公方家慶の尿筒持ち役を務める土田家は、伝右衛門から養子の伝蔵へと代替わりしていきます。→2022/09/09
とし
68
鬼役「継承」32巻。小姓組番頭橘右近の死去により御膳奉行の役を養子の卯三郎に伝右衛門も伝蔵へと受け継がれることに、裏の影御用はどうなることか微妙ですね。2022/12/18
えみ
49
次々と襲ってくる敵が投下する一滴の不穏が、じわじわと地を這って周囲に広がるように止まらない悲劇を生み出していく。この鬼役シリーズも遂に正真正銘の最終転換期に入った…と思うと切なさでいっぱいだ。継承されていく意志。置いて進まざるを得ないそのお役目の虚しさ。哀しくても時は待ってはくれない無常。表の顔は将軍家毒味役である御膳奉行。一方で裏の顔は幕臣の不正を断つ暗殺役である矢背蔵人介。彼が活躍するシリーズ第32弾は失うものが多く、そして大きい「喪失」の巻。今後の展開は?終わりが見えている今、不安と期待が渦巻く。2024/12/21