出版社内容情報
茶葉屋・青陽堂の若おかみとしての日々にも少しずつ慣れてきた律。律が描いた一枚の似面絵が思いもかけない新たな事件を巻き起こす!
内容説明
授かった赤子を喪って半月。周囲の労りもあり、律は気落ちしながらも上絵の仕事に励んでいた。そんなとき舞い込んだ着物の依頼は、「らいの鳥」を描いてほしいというもの。珍しい意匠に悩む律の周辺に、かつてその似面を描いた大泥棒・晃矢の影が見え隠れして―。若おかみとして、職人として、成長していく律の生きざまを濃やかに描く人気シリーズ第八弾!
著者等紹介
知野みさき[チノミサキ]
1972年生まれ、ミネソタ大学卒業。2012年『鈴の神さま』でデビュー。同年『妖国の剣士』で第4回角川春樹小説賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
67
律が人間的にも職人としても日々成長していくのが感じられて気持ちよく読んだ。類さんと佐和のタッグは想像するとちょっと怖い。千恵の元許嫁が登場したということは千恵は過去をきちんと克服したということかも。前作の彼岸花といい今回の雷鳥といい律は難しい題材に挑戦して頑張っているし、それを見守っている涼太もいい男になったよねぇ。2022/05/12
天の川
64
昔の自信なさげな律の姿はもうありません。涼太と添えることができたこと、上絵師としての腕が評価されてきたこと…幸せいっぱいのはずなのに、前の巻で起きた不幸が払拭できないのは仕方のないことだと。律の周りの千恵さん、綾乃さん、史織様、幸ちゃん、それぞれのキャラクターがいいなぁと思うけれど、池見屋の類さんと姑の佐和さんの一本筋の通った厳しくも優しい二人が今回も凄い。二人が揃った時の迫力ったら♪2022/05/30
のんちゃん
50
上絵師で、時折、お上の御用で似面絵も描くお律の物語、第8弾。今回は人の情を色濃く描いた胸に迫る作品となっている。毎回、このシリーズの新刊を書店で見つけるとすごく心が弾み、読み始めると止まらないのは、作者と私の相性が良いからだと思っていたが、お気に入りさんの中にもこのシリーズ、楽しみにしておられる方を何人かお見受けするので、知野先生の筆力、脱帽である。もう次巻が待ち遠しい。早くまたお律に会いたい。2022/06/07
はにこ
49
久々にこのシリーズを読んだからか、何人か忘れている登場人物が。。それでも作者のサービスで過去のことも少し書いてくれているから助かる。今回のピカイチ登場人物は晃矢かな。悪人だけど憎みきれなかった。千恵の決断のところも良かった。雪永が報われたら尚良い。律の腕が上がってきたのと、子供達が成長しているのが微笑ましかった。2022/10/24
優希
46
愛する赤子を喪う悲しみはどれほどのものでしょう。それでも仕事を続ける律は強いと思います。職人の性ですね。2023/01/07