出版社内容情報
日本推理作家協会賞受賞作家がおくる、底辺で生きる人間たちの業と人生の不思議な縁。驚きと感動の長編ミステリー。
内容説明
がんで余命半年と宣告されたヤミ金業のマキ子。落ちぶれた取り立て屋の乾。陸上部のエース阿久津先輩に憧れる高校生の結。生まれてから車椅子の生活しか知らない身体の不自由な博。それぞれの運命が絡み合ったとき、人生は思いがけない方向へ…。二〇一七年『愚者の毒』で日本推理作家協会賞を受賞した著者が、底辺で生きる人間たちの業と、不思議な縁を描く。
著者等紹介
宇佐美まこと[ウサミマコト]
1957年愛媛県生まれ。2006年「るんびにの子供」で第1回『幽』怪談文学賞“短編部門”大賞を受賞しデビュー。’17年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞“長編及び連作短編集部門”を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
156
宇佐美作品、4作目。これも面白かった。なんだろ、どんな辛い人生でも決して諦めるなといったメッセージ作品なのか。それと、これも言葉にしちゃうとなんだけど、息子を思う母の無償の愛。これを宇佐美作品のベストにあげる人の気持ちもわかる気がする。ファンタジー要素もありで、この手の流れは、はまるときにはきっちりと自分の感情にはまってしまう。宇佐美作品の追っかけ継続します♪2022/03/12
アッシュ姉
81
人を刺してしまった母親、残された一人息子、彼を案ずる女子高生、不思議な青年リョウ。気になる幕開けの宇佐美劇場。この先どう繋がっていくのか気になりながら、闇金業を営むマキ子の凄絶な過去、闇金の取り立て屋まで落ちぶれた乾の半生に引き込まれていく。突如おまじないの魔法の言葉が届いたとき、すべてが繋がり鳥肌。これこれきたきた!この快感を味わえるのは宇佐美さんの長編ならでは。短編も好きだけど、こういう長編もいい。2022/08/03
itica(アイコン変えました)
80
突然の殺害現場から始まる序章。が、唐突に話は闇金業を営むマキ子と部下の乾に焦点が移る。マキ子の悲惨な生い立ち、乾の自らが招いた落ちぶれた人生に何とも言えない遣り切れなさを思う。読むのが辛くなる。そうこうするうちに序盤の場面と彼らが一本の線で繋がるのだ。驚きはあるものの、違和感も拭えなかった。コーヒーに落とした角砂糖が溶けないまま、苦みだけが残った印象とでも言えばよいのか… 2023/06/23
ケイト
76
冒頭女が男を刺すシーン、これは絶対ツカミだ。「ウーピーパーピーの木の下に埋める」このおまじないが人生をリセットする?あ〜もうダメだ、先が気になる。マキ子は個人ヤミ金の経営者、乾はそこの従業員。マキ子の壮絶すぎる過去、でももうすぐ命の灯火が消える。乾は荒んだ生活を送りながら、欺き通した過去に何を思うのか?二人ともお金に翻弄された人生を悔やんでいるのか?今からでもやり直せる、やり直したい。その気持ちに突き動かさされた時、女子高生・リョウ(桜の君)・車椅子の男が繋がった。あーーウサミンマジック!やられた〜(涙)2022/02/15
のり
68
母親が犯した殺人事件。残された男子高校生に伝言を頼まれた女子高生だが…歯車が狂い始めると歯止めが効かなくなる。俗に世の中は狭いと言うが、堕落した人生を送っていた男に別の角度から助言・助力舞い込む。悲劇の過去から浮かび上がる転機が訪れ、残りの人生に光が射すことを祈る。2023/07/20