出版社内容情報
兄を虐殺した連中を皆殺しにする――ワルサーP38を手にした日から衣川恭介の人生は変わった。血が血を呼ぶ凄惨な青春を描く傑作。
内容説明
新宿でバーを経営する衣川恭介は、怒りに血をたぎらせていた。婚約を機に犯罪組織を抜けようとした兄が、仲間たちになぶり殺しにされたのだ。五年間の雌伏の後、魔性の銃ワルサーP38を手に、いまは表の社会で成功者となった悪党どもを血祭りにあげていく。復讐の鬼と化した衣川の行方に待ち受ける運命とは?著者初期の凄まじき傑作がついに復刊!
著者等紹介
大藪春彦[オオヤブハルヒコ]
1935年京城生まれ。早稲田大学教育学部中退。’58年、大学在学中に『野獣死すべし』でデビュー。江戸川乱歩に高く評価された。独特の乾いた文体、過激なアクション、銃や車の精密描写などで一躍人気作家に。日本のハードボイルド史に残る数多くの作品を書き上げている。’96年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
23
兄を殺された復讐に犯罪組織に挑む主人公・衣川恭介。手にするは魔性の銃・ワルサーP38。殺された兄の復讐という大義がありながら(しかも、復讐相手は犯罪に手を染める者ども)、しかし大藪春彦は目的達成のためならば恭介を鬼にすることも厭わない。犯罪とは無縁の一般市民の命を消すことを恭介はためらわないのだ。生ぬるい倫理を嘲笑う恭介の冷徹な暴力は、決してサイコパスなものではなく、あるいは作中でワルサーP38が持つ魔性に魅せられたかのような描写もあるが、どれも腑には落ちない。(つづく)2022/03/24
タナー
14
今回の作品は 1961年に描かれたものだそうである。全く古さを感じさせない。とにかく大藪作品は、銃器の描写が実に細かく詳細で、何でこんなに銃の知識を持ってるんだろうと思ってしまう。読んでいて映像が浮かぶようなシーンの連続。優れたアクション系ハードボイルドとはこういう作品のことを言うのだろう。さて、主人公・衣川の復讐はまだ終わっていない。ということで、続篇にも期待。2023/02/21
松田悠士郎
3
日本のハードボイルドの旗手とも言うべき大藪春彦先生の初期の作品。単純な復讐劇が展開されるのかと思いきや、主人公衣川の行く手には様々な困難が待ち受ける。しかも話はこの巻には収まらずに「凶銃ワルサーP38」へと続く。2023/05/05
たくぞう
0
再読。こんなにハチャメチャな小説だったっけかと呆れた。こんなに面白い小説だったっけかと驚いた。2023/06/02
depo
0
図書館本。リサイクル本のコーナーに凶銃ワルサーP38があったのでそちらを先に読んでしまった。そこで図書館で本作を探した。次に映画を見てみたい。2022/10/12
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- 和書
- 選ばれない人 光文社文庫