出版社内容情報
著名武将それぞれの「切腹の間際」を、時代小説の雄が鮮烈に描き出す傑作短編集。涙なくしては読めない傑作。
内容説明
討ち入りを果たし、旧主の仇を討ったと礼賛された赤穂浪士。赤穂浪士を率いた元浅野家筆頭家老の大石内蔵助が切腹の直前に漏らしたのは意外な心中だった。(「子想腹」)織田信長、西郷隆盛、今川義元ほか、「本懐」を目前にして壮絶な最期を遂げた六人の武士、それぞれの「最期の本心」とは何だったのか―。
著者等紹介
上田秀人[ウエダヒデト]
1959年大阪府生まれ。大阪歯科大学卒業。’97年、桃園書房主催第20回小説CLUB新人賞佳作。2010年、『孤闘 立花宗茂』(中央公論新社)で第16回中山義秀文学賞受賞。2014年版「この時代小説がすごい!」文庫書き下ろし部門作家ランキング第1位となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
76
歴史が覆る、大石内蔵助が忠義者でなく…。字の大きさは…小。播磨国赤穂浅野家五万石の藩主・浅野内匠頭が吉良上野介に殿中で刃傷に及び浅野家が断絶。城代家老大石内蔵助は、内匠頭の馬鹿さを呪い、これで浅野家との主従関係が無くなり一浪人として妻や子たちをいかに守っていくかを考えるようになる。著者が、従来の忠義者という考えを覆す逆説的な考え方が面白いです。内蔵助が、切腹の日に本当は、血気に走る嫡男・主税のために、主税の名誉のために吉良家討ち入りを決行したのであると明かす。お、おぉ~、こういう見方もあるのかと。他5編。2021/07/20
Atsushi Kobayashi
20
わからなくもないけど、ちょっと違うかな、というところですね。あんまりお勧めではないです。2021/04/20
jima
19
6つの章からなり、6人の死について書かれているが、最初の大石内蔵助は、別角度からの切り込みがあり、面白かった。その他はちょっと。2021/06/22
OHモリ
17
切腹にまつわる裏歴史小説?●6人の歴上の人物が最期に本音を語る。堀長門守直虎と画人の狩野融川と今回はじめて名前を知った人物だった。切腹さえ許されずに首を打ち取られた今川義元にしろ、切腹して本懐を果たしたかも知れない大石内蔵助や織田信長らにしても実はくよくよ悩んだり後悔していた人たちなのではないかという話だった。爽快感はなかったが、歴史の裏を探る的な発想で面白かった。ブログ→https://plaza.rakuten.co.jp/drunk4374books/diary/202108120000/2021/08/02
リュウジ
8
★3 戦国~江戸末期。命を懸けて目指した本懐(本来の願い)を成し遂げられず、切腹で自ら生のケジメをつけることとなった6人の男たち(うち1人は未遂)。追い込まれた彼らは一体何を思ったのか。その心情を作者が解釈/想像、これがむちゃくちゃ面白い。不条理な死を前にして大石内蔵助は浅野の殿様をぼろくそに罵り、信長は義昭や浅井たちの裏切りを愚痴りまくり、西郷どんはますます後悔しまくる(短編ながら無血開城時、西郷に説いた勝の言説もなかなか面白い)。シチュ的にはあり得ないけど、小説内の人間臭い吐露は案外当たっているかもw2023/11/06
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