出版社内容情報
市川大輔は片岡有美に結婚を申し込むべく、意を決して手紙を書いた。受け取った有美は指定の時間に待ち合わせ場所に行ったが・・・
内容説明
結婚の申し込み、親に宛てた遺書、退職にあたってお世話になった相手への礼状、プロポーズした相手の小指を切断するという脅迫状、文学賞の受賞通知、家出した孫に宛てた助けを求める手紙…大切な手紙の数々が相手に届いたのは、十五年後だった。一体どうしてこんなことに?時間差で届いた手紙が巻き起こす悲喜劇の裏には「編者」の影が。著者ならではの怪作!
著者等紹介
折原一[オリハライチ]
埼玉県生まれ。早稲田大学文学部卒。1988年、『五つの棺』でデビュー。同年、『倒錯のロンド』で江戸川乱歩賞候補に。’95年、『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞(長編部門)受賞。2018年『異人たちの館』(文春文庫)が本屋大賞発掘部門の「超発掘本!」に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
坂城 弥生
53
エピローグまでずっと誰が、何のために?疑問に思いながら読み進めていたら、エピローグもの凄い嵐に見舞われた感じでした…面白かったです。2021/08/27
annzuhime
41
15年前の手紙が届く。ポストカプセルの企画として届いた手紙。しかし投函した相手はポストカプセルを利用した記憶はない。なぜ15年後に届いたのか。遅れて届いた手紙が、差出人、受け取り人それぞれの現在を揺るがすー。真相はたったそれだけ⁉︎なのにこの地獄絵図のような混乱具合。いや〜面白く読ませてもらいました。人の欲望の深さとか、我が身可愛さの醜さとかよく出てましたね。テンポよく進むので読みやすかったです。2021/05/17
シオウ
27
ラブレター、遺書、脅迫状…すぐ読まれることを想定して書かれた手紙が、15年の時を経て届いたら?何かの間違いだと、見なかったことにして捨てるだろうか?本書の登場人物は何らかのアクションを起こし思わぬ展開に。短編としても秀逸だが、全体を通して1つの話としても楽しめる。短編に隠された伏線が最後一気に回収されるのは爽快。多少モヤッと感が残るが、これだけの話を構築できる折原さんはさすが。チョイ出の名前も忘れずに、一気読みすることをオススメする。2021/06/07
オヤニラミ
17
投函された手紙が15年後に相手のもとに届き行き違いと混乱を巻き起こす。ラブレターを出した相手は…再会。母親へ殺人を起こし自殺すると…遺書。元部下から送られた…礼状。通い詰めたホステスを人質に…脅迫状。作家を目指す若者へ新人賞受賞の連絡が…受賞作なし。祖母から孫娘へ助けを求めて…待ち人来たらず。これらの人間模様が浮き出された短編により”最後の手紙"と"告白"で伏線回収と事の発端が証される。最後は理解に??時間がかかりましたが、とにかくこの時差を活かしたトリックと人が起こす行動は面白味がありました。 2023/04/14
チェス
7
短編そのものも面白かったけど、どこまで続くのか、このヒネリは?ってな感じで。2022/05/10