出版社内容情報
発表する作品が高く評価され、斯界の注目を集める著者による傑作ロードノベル!
内容説明
夫・宏基と別居中の弓子は、アパートの隣人・楓と時々一緒に食事をする仲だ。別居後すぐに宏基は失踪したのだが、ある日義理の母から、故郷の島で宏基を見かけた人がいる、という話を聞かされる。執拗に言い寄ってくる社長がいやになり会社をやめた楓と、職探し中の弓子は、気分転換と休息を兼ねて島への旅に出ることにした。女二人の旅の行く末は―。
著者等紹介
寺地はるな[テラチハルナ]
1977年佐賀県生まれ。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
154
2017年の刊。わりと初期の寺地作品にしてこの世界観を見事創り上げる寺地さん、やはりいいな、と素直に思う。淡々と自身と他人の内面を見つめ、時にざっくり抉り汚れ傷んだ部分を描き出していくアラフォー女のロードノベル。何故だろう、その「抉られ方」は実に心地よい。それはおそらく読み手の心や経験のなかに確かにあっても言葉として自ら表出し得なかった感情を言葉として炙り出してくれるからに違いない。あぁ、わたしもあの時、同じこと感じてたんだ…その共感の漣は弓子や楓の目線が、いまここにいるひとりのわたしの目線に重なるのだ。2023/07/14
おしゃべりメガネ
87
四年ぶりの再読でした。どんな話だったかな~と読み進めましたが、正直全然覚えてませんでした。夫に逃げられた「弓子」と漬物屋の社長から言い寄られている「楓」はアパートの隣人同士で、ふとしたコトから失踪した夫の情報を元に二人で探しに行くコトに。他の寺地さん作品と比べると、シリアス度というかやさぐれ度がちょっと強めで少し抵抗がありました。中でも謎めいた「シズ」の存在はある意味、ちょっとしたホラーで他の寺地さん作品にはない雰囲気を作り出しています。結果的にはいつもの寺地さんワールドでしたが、読後感はモヤッとですね。2024/09/28
TAKA
83
弓子の大らかさがいい。この人には普通とか常識とかという固定観念がないのがいい。人は所詮ひとりで生きることを前提として手は繋ぐけれども道が違えば離しますよみたい方が男女関係なく生きやすいかなと思った。「夫婦だって友だちだって一緒にいるだけでふたりという新たななにかになるわけではなくて、ただのひとりとひとりなのだ」まさにそう。タイトルもいいし、ふたりの距離感もいい。女性の人にお薦めかも。男が都合良すぎただけで何も言えず。2023/01/03
mayu
76
夫が失踪中の弓子。好きな人は去り、好きでもない人に言い寄られ悩む楓。隣に住む二人はごはんを一緒に食べる仲に。同じ時期に失業、弓子の夫を見かけたという島へ旅に出る。一緒に行っても別行動が多い二人。無理して合わせずお互いのペースを尊重する距離感が良い。「夫婦だって、友だちだって、一緒にいるだけで『ふたり』という新たななにかになるわけではなくて、ただのひとりとひとりなのだ」みんな違うから、寄りかかり過ぎず、自分がどうしたいか見つめ直すことも伝えることも必要。そうすれば、心地よい距離感で助け合うこともできるはず。2022/09/29
nyaoko
75
うーわーこれも好きな本だー。寺地さんの本、何読んでもハマるー刺さるー言葉の一つ一つがいいー。あと、歳を取ればとるほどに、女友達って付かず離れず、程々の距離感がある方がいいんだよね。そして夫婦間はもっと大事。2022/06/17
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