内容説明
将軍家毒味役矢背蔵人介は、不忍池の畔で偶然出会った牧田家の妻佐保が、将軍家慶の十男の「御乳持」になったと聞く。しかし、佐保は屍骸で家に戻ってきた。駕籠の下敷きになったという不審な説明に、従者串部とともに背後を調べ始めたところ、己が利得のために弱き者を使い棄てる非道の輩が浮かび上がる―。鬼役が声なき者の恨みを晴らす大好評シリーズ三十弾。
著者等紹介
坂岡真[サカオカシン]
1961年、新潟県生まれ。11年の会社勤めを経て文筆の世界へ。花鳥風月を醸し出す筆致の時代小説を描く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
151
遂に30巻目、そろそろ大団円か?と思いきやまだまだ続きそう・・ですね。でも水野に鳥居はそろそろ限界な感じがするのは私だけか?遠山の言動もしっくり来ないし、如心尼との関係も未だに心許ない。そんな中、今回3話目で卯三郎の恋模様が微笑ましかったのが救い。このシリーズはどんな結末が用意されているのだろう。もうそっちが気になりだしてしまう。いや・・次も読みますけどね。2020/10/06
KAZOO
92
もう30巻目になるのですね。今回は老中水野の暗殺を防いだり、あるいは遠山が奉行から大目付になって愚痴をこぼしている聞き役に回ったりと相も変わらず忙しい主役です。水野と鳥居の間にもすき間風が、という感じにもなっています。義理の息子の卯三郎がいよいよ独り立ちしそうな状況にもなりその嫁さん候補とのいい関係も出てきました。2024/09/20
やま
88
鬼役30作目 2020.08発行。字の大きさは…中。景清、鬼追い鍾馗、抜け弁天の3話。将軍の毒味役である御膳奉行・矢背蔵人介は、幕臣随一といわれる田宮流抜刀術の達人であり、密命により幕臣の不正を断つ暗殺役という裏の顔があります。老中水野忠邦を暗殺すべく刺客が放たれる。矢背蔵人介の養子・卯三郎は、想いを寄せる旗本・門脇杢之進の娘・香保里が、この暗殺に絡んで誘拐された。卯三郎は、香保里を助けるべく動き…。事件解決後に、卯三郎と香保里は、抜け弁天で茅の輪を潜り…。卯三郎と香保里の仲が進展するか、気にかかります。2020/11/23
とし
87
鬼役「暗殺」30巻。う~密命の出所が明確では無くなってきたような、如心尼、水野忠邦、遠山の金さんも中途半端なような気が?次巻卯三郎と香保里の距離が縮まりますように。2021/04/18
えみ
47
矢背家の養子となって鬼役と呼ばれる将軍家毒味役・矢背蔵人介の跡を継ぐべく度重なる厳しい試練を乗り越えてきた卯三郎。前途に明るい未来があることを祈らずにいられない気持ちのいい青年。鍛錬に恋に、一生懸命。将軍家毒味役でありながら密命をうければ幕臣の不正を断つ暗殺役としても剣を振るってきた蔵人介の役目も継ぐことに太鼓判を押すような今回の活躍は逆に蔵人介の終演を予期しているようでちょっとだけ寂しくもある。が、まだまだ彼には活躍してもらわなければ。幕府の中で蔓延る悪は消えることがなく、次から次へと湧いて出るから。2024/09/12