内容説明
浪人の身である新井伝蔵(白石)は、将軍・徳川綱吉の寵臣・牧野備後守成貞に呼び出された。将軍の警固役の依頼だったが、その裏には綱吉の命を狙う御駕籠之者・轅半左衛門を討つ計略があった。轅半左衛門は恩人・堀田筑前守正俊を殺害し、伝蔵の額に火字傷をつけた宿敵でもある―。魅力的な登場人物、先の読めない展開、怒涛の剣戟で息もつかせぬ傑作!
著者等紹介
中路啓太[ナカジケイタ]
1968年東京生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程を単位取得の上、退学。2006年、『火ノ児の剣』で第一回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞しデビュー。’15年、『もののふ莫迦』で第五回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ryohey_novels
5
新井伝蔵(白石)の若年期を描いた伝奇小説。中路作品は『ロンドン狂瀾』に次ぐ2作目。静の『ロンドン〜』とは正反対に、本作は非常に疾走感がある物語。話や構造はシンプルで、伝蔵の心理描写も上手く盛り込まれいるが、展開の強引さと伝蔵のキャラクターへの違和感が強く、読後感はイマイチ。頭脳明晰で侍講を目指すほどの人材にも関わらず、性格は傲慢で冷静さに欠く印象。その癖に自尊心が強く、出世できないのを環境のせいにしている感じが強く、あまり好意を持てなかった。解説にある通り、時代性の違いが上記感想を抱かせるのかもしれない。2021/04/18
gachi_folk
4
中路啓太の2作品目とのことで、少々荒削りながらも大好きな『もののふ莫迦』へ通ずるものが感じられ楽しく読めた。それにしても新井白石が剣で暴れるって設定は中路さんっぽくていいな。2022/10/01