内容説明
名探偵・阿久津透。数々の事件を解決してきた彼は、証拠を捏造し、自らの犯罪を隠蔽したという罪で、本邦初の探偵弾劾裁判にかけられることになった。兄を見殺しにされた彼の助手、火村つかさは、裁判の請求人六名に名を連ねたが、その中には思わぬ人物も入っていて―!新人発掘プロジェクトから現れた鬼才、審査員を唸らせた必読のデビュー作、待望の文庫化!
著者等紹介
阿津川辰海[アツカワタツミ]
1994年、東京都生まれ。東京大学卒。2017年『名探偵は嘘をつかない』が光文社の新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」の受賞作に選ばれ、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
66
著者のデビュー作だが、これだけの長編をよく纏められたと関心するミステリ。 裁判までには阿久津の過去の事件や、その推理に対して恨みを持つ6人の請求人が集まっていき、いよいよ裁判の開廷という流れ。 阿久津のキャラもそうだし、かなり濃いめの人物が多いが、特に裁判官の榊遊星の場を混乱させる役割は面白く、ゲームの「逆転裁判」を思い起こす。 二転三転どころではないし、転生という特殊な状況下で犯人や被害者などが別という観点は新鮮な余韻。 他作品も読みたくなる出来。2022/07/17
うまる
38
探偵が地位を認められている世界における探偵の弾劾裁判。紅蓮館と同じく、そこそこの登場人物数なのに、それぞれが合理的な行動をする事で複雑化してくる展開が良くできています。デビュー作からこんなに緻密な構成とは驚きです。とにかくミステリ愛全開で、こなれた作家が遊びや実験としてやる事をデビュー作でやっちゃったよという感じもあります。あそこで斜め屋敷も出てくるとは! 純粋に事件の謎と解明だけを読みたい人には合わないかもしれないけど、ミステリ論・探偵論も好きな人には最高の作家さんです。小説以外の本も書いて欲しいなぁ。2021/02/25
hnzwd
34
探偵が公務員として認められた世界を舞台として、悪徳?探偵の弾劾裁判を通して暴かれていく意外な真実。。何もかもが絡み合って着地した真実は凄い。各章のタイトルが名作ミステリから取られている中で、『再会、そして逆転』!!逆転裁判だーー!散りばめられたセリフなんかもゲームとしても大好きな逆転裁判オマージュを随所に感じられたし大満足でした。2020/07/02
かめりあうさぎ
30
著者デビュー作。特殊な世界観の上にとんでも設定を持ち込んだ上でのミステリで途中ちょっと疲れてしまいました。中盤を乗り越えて後半は面白さが加速したので読後感は良かったです。ある探偵が過去に解決した事件は、本当に正当な捜査方法で真実に辿り着いたのか…探偵に恨みを持つ者たちが弾劾裁判に打って出る。果たして真相は…。謎解きレベルは結構高めでした。2020/10/20
ハゲおやじ
29
本屋で目についた初読み作家のデビュー作から読む。現在とは異なる世界観の説明から始まり、探偵 阿久津の事件解決が助手の兄を見殺しにすることで成立している事から話は大きく変化。”転生”も絡んで、阿久津の弾劾裁判へ。幾つもの伏線を回収して行く文章の緻密さは、これがデビュー作か?と思わせる凄さと美しさである。って 偉そうな感想を書くのに疲れたので、いつもの私に戻ると「長かった」かな。確かに殺人?を犯した犯人は意外で 阿久津の優しさは「おぉ」だけどね。火村兄と優子は、結婚できるのかなぁ(どうでも良いね)。2022/11/21
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