- ホーム
- > 和書
- > 文庫
- > 雑学文庫
- > 光文社 知恵の森文庫
内容説明
日本の字幕は世界一クオリティが高い。ただし、吹き替えと比べて制限があり、セリフの内容を100%は伝えきれない。だからこそ翻訳者の腕の見せ所。セリフは1秒4文字以内。「!」や「?」に頼らない。平均1000あるセリフをどう要約翻訳していくか。ハリウッド映画から中東映画まで、字幕屋の仕事を知れば、映画はもっと楽しくなる。
目次
外国映画の翻訳二種
第三の映画翻訳
映画字幕の作り方
吹き替えの自由と苦労
ちがって当たり前
驚異の語学力
おしゃべりなメール文
句読点の苦闘
そんなに叫んでどうするの―「!」の話
ルビと混ぜ書き〔ほか〕
著者等紹介
太田直子[オオタナオコ]
1959年広島生まれ。映画字幕翻訳者。天理大学外国語学部ロシア学科を卒業後、ロシア文学研究者を目指して上京。映画の自主上映団体や字幕制作会社でのアルバイトを機に、字幕翻訳者の道へ進む。2016年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
29
映画字幕翻訳者のエッセイ。軽妙な語り口で字幕作成の裏事情などを。大御所戸田奈津子のエッセイも読んだことあるけど、1959年生まれの太田さんの方が年齢が近いせいか性格的に好みなタイプだからか、字幕屋稼業の喜怒哀楽がとても楽しい。と思ったら太田さん2016年に亡くなってたのね…。(この文庫は今年の2月に出版だけど、2007年の単行本「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」が元)2019/08/15
shikada
17
洋画につく字幕に関するエッセイ・雑学集。基本的に1秒に4文字だけ、可能な限り常用漢字を使う、口が見えるシーンは母音をできるだけそろえる(たとえば「NO」と叫ぶシーンなら母音が「お」の日本語にするなど)、複数人物が同時にしゃべる場合は一人だけ選んで翻訳する、など様々な制約の中で字幕はつくられている。そうした制約がない吹き替えと字幕はセリフが違ってくる。外国の衣食住や通貨などの文化も精力的に調べる翻訳家さんは尊敬できる。2022/09/26
なつみかん
9
僕はやっぱり洋画は「字幕派」だな!こうした作者の仕事に敬意を表します。(*^^)v2019/08/25
まじぇすた
6
字幕屋さんの仕事と苦労が知れた。日本語字幕表現において1秒4文字を原則とするので、ただの翻訳ではなく概要翻訳の作業となる。これに著者の本意ではない配給会社からの要望と圧力が加わり締め切りが短いこともあって苦労が絶えないようである。本書ではまた、字幕にとどまらず日本語一般についても言葉遣いの悪さや表現の拙さに嘆いている。そんな内容が流暢で読みやすい文章で綴られている。「させていただく」の考察については全くの同意である。2025/02/01
むむむ
4
日頃、何気なく見ている字幕を制作者の視点で見られるのが非常に楽しい。自身のなまじっかな英語力でもこの字幕は違うのではないかと感じることが多々あったが、やむにやまれぬ、血のにじむ思いで編まれた文言だったということがわかった。決して翻訳するだけではたどり着けない境地の作業であり、AIにはまだ登場していただく必要のない分野である。 また、翻訳への思いだけでなく、昨今の語彙力やコミュニケーション能力の低下、ブラックな労働環境など字幕という業界(?)からの指摘にもいたくうなずかされた。2019/07/21
-
- 和書
- 半導体ニッポン