出版社内容情報
小栗虫太郎、夢野久作、久生十蘭、芥川龍之介、谷崎潤一郎の探偵小説シリーズがスタート。第一弾は谷崎潤一郎作。
内容説明
会社員法学士湯河勝太郎が歩いていると、安藤という探偵が友人に紹介してもらったと声をかけてきた。実は湯河本人を調べているといい、今の妻とはまだ法律上の結婚はしていないこと、前の妻はチブスで死んだことを語り始める。湯河は不愉快な顔になった―。(「途上」)江戸川乱歩にも多大な影響を与えた、谷崎潤一郎の探偵小説傑作選が登場!
著者等紹介
谷崎潤一郎[タニザキジュンイチロウ]
1886(明治19)年東京生まれ。東京帝国大学国文科中退。1910(明治43)年、小山内薫、和辻哲郎らとともに第二次「新思潮」を創刊。同誌に「刺青」「麒麟」などを発表。これらが永井荷風に絶賛され、一躍文壇の寵児となる。代表作に『痴人の愛』など多数。耽美小説、歴史小説、伝奇小説のみならず、作品は非常に幅広い。近代日本を代表する文豪の一人。怪奇幻想小説、探偵小説を好んで手がけ、江戸川乱歩や横溝正史らにも多大な影響を与えた。1965(昭和40)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
112
最近、日下三蔵さんが大正・昭和のミステリーなどを掘り起こして本を編纂してくれています。この本もその1冊で谷崎潤一郎のミステリーをまとめたものです。っ全集でいくつか既読のものもあるのですが、これだけまとめられると谷崎の魔術に惑わされたような感じでおなか一杯になります。私は「人面疽」「ハッサン・カンの妖術」「途上」が印象に残りました。2021/08/15
藤月はな(灯れ松明の火)
51
梅田百貨店での古本市にて購入。デカダンとエロティシズムが印象的な文豪が描いたミステリーを中心に収録。「前科者」や「私」、「或る調書の一節」は一部だけを見て紋切調に人物を見がちな風潮に風穴を開けるような作品ではないか。ろくでなしや罪人にも痛む心はあるのだ。「人面相」は虚が現実化させる映画の魔力が入れ小細工的に描かれているのでより、幻惑性を増している。「呪われた戯曲」は芸術の完成の為に罪を犯すかが延々と説かれる。「藤十郎の恋」を思い出すが、それと画すのは戯曲とその評判にその答えに記されている事。まさに悪魔的だ2025/01/13
えも
35
さすが谷崎。新しいもの好きだから、いち早くポーを読んで、変態だから、ポーの変態心理をしっかりと自家薬籠中のものにしている▼それにしても、いかにも乱歩や久作を読んでるような文体や描写、犯罪心理への傾倒などだが、実は逆で、谷崎の方が早く、乱歩らが影響を受けていたというのも凄み▼この本の表題も、普通ならメジャーな「秘密」にするところ、レベルは高いけどマイナーな「白昼鬼語」にするところ、編者もなかなかの変態だね♪2021/10/02
Kotaro Nagai
8
谷崎のミステリータッチの作品を集めた短編集。明治44年~昭和2年の13編を収録。「人面疽」(大正7年)「途上」(大正9年)は既読。谷崎がこれほどミステリーに傾倒した作品を残していたとは驚きです。中編規模の「白昼鬼語」(大正7年)はポーの「黄金虫」の暗号をそのまま使った犯罪ミステリーで、犯罪に関わる女の微に入り細を穿つ濃厚な描写はまさに独壇場。「秘密」(明治44年)ではドイルの「4つの署名」の言及がある。明治44年(1911年)といえばドイルはホームズを執筆中で、この時期から谷崎の関心の高さが伺え興味深い。2024/11/12
孤読 乃仲
5
#のベルズ @yonda4 9784334779641 #読了 38日間。2023/07/30