出版社内容情報
男やもめも長い牡丹堂の主人、徹次のもとに、後添いの話が舞い込んだ。本人には知らせず、まずは見世の手伝いに来てもらうことに!
内容説明
注文が増え忙しくなった牡丹堂に手伝いの女性がやって来た。年のころは三十過ぎ、背が高くて器量よし、さっぱりした気性で働き者。たちまち見世の職人たちの心をつかんでいった。女房のお葉を亡くして十年になる主・徹次とも、じきに親しくなってゆくのだが…。一方、小萩は新しい菓子の考案に頭を悩ませる日々が続いていた。菓子と人情の物語シリーズ第五弾。
著者等紹介
中島久枝[ナカシマヒサエ]
フードライターとして全国のおいしいお店や素敵な人々をたずね、歴史や文化とともに新聞や雑誌に紹介。読売新聞土曜日夕刊に隔週で「甘味主義」を連載中。著書に『和菓子 人と土地と歴史をたずねる』(柴田書店)ほか。2013年、『日乃出が走る―浜風屋菓子話』でポプラ社小説新人賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
113
日本橋牡丹堂 菓子ばなし5作目 2019.12発行。字の大きさは…中。 素人落語のみやげ菓子、餡の甘さと母の想い、煉り切りの淡い夢、道成寺の桜 石橋の牡丹の4話。 鎌倉のはずれの村から菓子が好きで、菓子作りがしたくて江戸へ出て来た小萩が、牡丹堂の皆に助けられて、菓子に係わっていきます。 此度は、山野辺藩より伊勢松坂との勝負に出した「揚げ饅頭」の次の菓子としての注文を受けます。 小萩は、男の職人には気が付かない、女の立場で考えます。 千代紙で綺麗な箱を作り、趣向を凝らした色とりどりのお菓子を入れると…。2020/03/13
タイ子
75
シリーズ第5弾。小萩もだいぶお菓子作りを任されるようになって、今回は落語会のお菓子やら能楽師からの依頼があり職人の経験と小萩のアイデアで出来上がっていく。そして、牡丹堂に新しくお勝手をやってくれる女性須磨がやってくる。美人で薙刀の名人、しっかり者とくれば何だかソワソワ感が漂うのは当たり前。親方の徹次は再婚まで考えるように。彼女の過去もいろいろあってスッキリしないけど牡丹堂にずっと居て欲しい。小萩の修行はまだまだこれから。彼女の成長を見守っていきたい作品。2020/02/07
ぶんこ
49
今回は勝代さんの暗躍が表立って描かれていなかったのと、可愛い小箱に詰めたお菓子の登場で面白さ倍増。素人落語会や子ども脳舞台のお土産など、その創意工夫が読んでいて楽しかったです。俄然脳舞台を観に行きたくなりました。小萩さんの菓子を作る技能はイマイチのままですが、アイデアはたいしたものなので、その方面に特化しても良いのではと思ったり。弥兵衛・お福夫婦が隠居住まいを設け、新しく奥仕事に須美さんが加わりました。大きな仏具店から離縁された須美さんですが、なんでもテキパキと器用にこなし、人柄も良い。先が楽しみです。2022/01/16
はにこ
43
新キャラ、須美さん登場。何でもできる須美さんに劣等感を感じる小萩。でも彼女の過去を知り、理解できるように。小萩の職人としての技術は全然なのだろうが、アイディアは素晴らしいと思った。能って一度しか見たこと無いけど、深い世界だな。能とお菓子の融合、面白かった。須美さんが今後どうするのかも気になるけど、伊佐と小萩の関係に全く進展がないのも気になる。2020/11/19
kagetrasama-aoi(葵・橘)
42
「日本橋牡丹堂菓子ばなし」第五巻。前巻で山野辺藩(十万石の大名)と繋りが出来た牡丹堂、市井の小さなお菓子屋から飛躍していくのかな?と想像しながら読みました。お能を意識したお菓子って凄く面白そうですね。小萩の頑張りに期待大です。新たな登場人物お須美も気になります、牡丹堂が良い変化する為の布石なら嬉しいんですが。小萩が江戸に出てきて二年経ちました。気持ちが段々と固まって行く様子が頼もしいです。次巻、牡丹堂や伊佐との関係に飛躍がありそうで楽しみです。2021/10/10