出版社内容情報
上海に渡り15年、無一文となった紅真吾は晩餐の席で一攫千金の話を持ちかけられる。広大な中国大陸を舞台に展開する大冒険!
内容説明
中国に渡って十五年、破産した紅真吾は、危機から救った大手商社の支店長・沢井から、儲け話に誘われる。揚子江を重慶まで溯り、豚毛を買い集めて帰ってくればぼろ儲けできるのだという。だが流域の治安は劣悪で、命の保証はない。一攫千金を狙う真吾は、短剣投げの名手・葉村宗明ら素性の知れない八人の猛者と出立する―。手に汗握る傑作冒険小説。
著者等紹介
生島治郎[イクシマジロウ]
1933年上海生まれ。早稲田大学卒。早川書房に入社し、「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」の編集長を務めるが、小説執筆のために退社する。’64年、『傷痕の街』でデビュー。’67年、『追いつめる』で第57回直木賞を受賞。2003年3月2日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ずっきん
80
時は大正、舞台は中国。上海から重慶まで、治安は最悪の揚子江を豚毛を求めて遡る男。その名は紅慎吾!読み友さんたちの強力推薦をいただき、わくわくと手にしたら、予想以上にド正面からの王道冒険活劇♪ 1965年作だもの。ひねりとか奥行きとか野暮は言うまい。謎を秘めた葉村を筆頭に、集まった猛者八人。素直に堪能して萌えればよい。したたかに生き抜く女たちもいい。なんつったって主人公の名前が『紅慎吾』かっけえ!漫画!?『はいからさんが通る』で満州に逃げて馬賊になったキャラに胸を焦がした、はるか昔の乙女時代を思い出したわ。2021/07/22
慧の本箱
19
時は辛亥革命後の混乱のさ中。上海で無一文になった主人公、紅真吾が大手商社の支店長の窮地を救ったことから話は始まる。上海から重慶までの3000キロの過酷な旅をあぶれ者の集団で果たして乗り切れるのか?2024/09/10
タツ フカガワ
19
時代は関東大震災が起きた大正時代。上海に渡って15年の紅信吾は、揚子江を重慶まで3000kmを遡っていく一攫千金の話に誘われる。抗日運動が激しくなるなか、素性の知れない同行者の裏切りや略奪目的の軍閥、土匪(土民軍)らが紅を待ち受ける。読んでいるこちらまで揚子江の奔流にもまれるようなノンストップ・サスペンスで、これぞ冒険小説という醍醐味を味わった一冊でした。2020/04/18
そーいち
15
中国での商いに失敗し夢破れた紅真吾。破産した彼に大手商社の男から儲け話を持ち込まれる。ただそれはとてつもない危険の伴う話だった。いわくつきな男たちが金に向かって突き進むのはまさに王道そのものだが、特によいのは主人公コンビの明暗さだろう。真吾は情に厚く捨てきれない部分を沢山持っている。対して相方になる葉村は自分以外、誰も信用していない男。この2人が反目し合いながらも進むのはやはり楽しい。前半は硬派な展開ながら後半はさながらコンゲームの様相を呈していく。この対比やラストのある意味爽快な結末も「らしく」ていい。2023/03/27
アオヤマ君
12
冒険小説ってこうだろっ!っていう展開が好き。一文無しの主人公、紅真吾がハードボイルド感も漂わせながら…バディもいて。裏切りがありそうで。器の小さそうなキャラもいて。明日を夢見る少年や過去を持つような男、魅力的な女性も登場で。暑さと臭いで茹だる舟。派手なアクションシーンもあり。黄河を遡り命をかけて一攫千金!浪漫でしょ。50年前に書かれた日本の冒険小説の金字塔。楽しめましたー2025/03/19