出版社内容情報
女たちの心の奥底にうずまく毒感情が、少しずつ溢れ、歪み、凶器となって、人の命を奪うまでを描いた、イヤミスの衝撃作!
内容説明
ある大雨の夜、冴えない中年男・戸沼暁男が刺殺された。暁男の不倫相手の妄想女・真由奈や残された妻・杏子と子供たちなど交友関係や、家族を巡って真相に迫ろうとする女刑事・薫子だが、一向に進展を見ない。しかし、事件捜査がついに、暴いてはならない秘密をつきとめた。女たちの心の奥底にうずまく毒感情を描ききった、イヤミスを超える傑作、待望の文庫化!
著者等紹介
まさきとしか[マサキトシカ]
1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
86
まさきさん四冊目。あの人が死んで私がいちばん悲しい、あの子が亡くなって私がいちばん悲しい。不幸を張り合う女たちに共感ゼロ、不快指数高し!どんよりするのに不思議と読んでしまう。くせになる魅力があります。2021/02/25
なっち
51
まゆたんのひとりよがりの妄想、思い込みは相当なモノ。あっちょんも罪作りな男だな。死んだ人からは本音が聞けないので想像することしかできないけど、あっちょんは妻と別れる気はなかったんじゃないかなぁ。後半はまた相関図がガラッと変わる。葵には幼少期から医療的なケアが必要だったのではないだろうか。2021/08/24
ココ(coco)
37
☆☆☆★まさきとしかさん、3作目です。被害者の妻、不倫相手、事件を追う女刑事等々皆んな自分がいちばん悲しいと思っている。前半は、犯人が誰かという点から読み進め、後半になるとある姉妹に焦点が当てられ、物語は加速して結末を迎えました。最後は悲しいのですが、またまさきさんの別の作品を読みたいという気持ちになりました。2021/07/03
hrmt
37
まさき作品2作目。あどけない幼女の装丁とタイトルから悲しい子どもの話かと思っていたが、なんのなんの、反吐が出そうなほど不快感を催す面白さだった。「私がいちばん悲しい」何度その言葉が出てきただろう。登場人物達の思い込みの激しさは病的ですらあり共感はできないが、現実から目を逸らした自己憐憫と自己正当化は無意識の防衛本能なのかもしれない…と思うと、人間の弱さが際立つ。人は誰しも自分に都合のいいように物事を捉えたいものだ。傷つきたくないし、自分が正しいと思いたい。けれどそこから生まれるものは歪みでしかないだろう。2020/08/30
JKD
34
謎の戸沼殺害事件を発端にいろいろな迷惑を被ってしまう女性たち。それぞれの深刻な事情があるので辛い気持ちはわからなくもないが、みんな自己愛の強い悲劇のヒロインなのでとにかくエゴが強い。どうにも救いようがない気分になりました。2019/11/04