内容説明
将軍家毒味役を務める矢背家から用人の串部六郎太が姿を消し、当主の矢背蔵人介の前には町方が現れた。串部には、辻斬りの疑いがかかっているのだという。臑斬りを得意とする串部にとって次々に悪い材料ばかり見つかるが、それでも串部を信じる蔵人介。はたして衝撃の真相とは―。超人気作品を支える脇役に号泣必至の物語があった。震えるシリーズ二十七弾。
著者等紹介
坂岡真[サカオカシン]
1961年、新潟県生まれ。11年の会社勤めを経て文筆の世界へ。花鳥風月を醸し出す筆致の時代小説を描く。その作品の質の高さには定評があり、「鬼役」シリーズは驚異の7カ月連続刊行で話題となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
167
手元に届くと何をおいても先ずは読む、シリーズ27弾。えー!串部・・とにかく気になり先を急いだがホッと胸をなでおろす。金さんとはどうにも合わない鬼役だ。そして、密命を下す如心尼に今一つ信を置けない中、伝右衛門と密命を果たすのだが、最後に考えが甘い公方に灸を据えるのが好い。やっぱりこのシリーズは面白い。2019/08/16
KAZOO
87
今回のハイライトは、鬼役の用人を務める串部がいなくなり、殺しの手配を受けます。鬼役の家族はみな心配しますが、最後は・・・・。鳥居が鬼役に遠山を切れと命令します、が従わずに逆に遠山を恫喝します。また遠山も以前のようではなく鬼役を手下にしたいようです。まあいつも楽しませてもらっています。2024/09/09
やま
82
鬼役シリーズ27作目。 2019.08発行。字の大きさは…中。 将軍の毒味役である御膳奉行・矢背蔵人介には、幕臣随一といわれる田宮流抜刀術の達人であり、幕臣の不正を断つ暗殺役という裏の顔がある。【野分去り】養母・志乃さんのお弟子・琴の夫・誠之進の敵討ち。【臑刈り継左衛門】用人・串部の同郷(郡上八幡)の友・有村の敵討ち。【人参騒動】如心尼(じょしんに)の元お女中およしの敵討ち(?)と将軍家慶の一言による騒動。 字の大きい本を読んでいるとほっとする。 次作を楽しみにしています。2019/10/09
とし
80
鬼役「公方」27巻。三話からなる短編。橘右近(矢背)の幽霊が公方のお灸を据える好いですね、辻斬りの疑いがかかる串部にはハラハラ、金さんのイメージにはちょっとがっかり、如心尼は密命を下すには信用がおけない、さてさて次巻はどんな展開。2019/10/12
えみ
39
密命無くとも正しい道を拓けるのであれば迷わずとも相手を斬る。ただしその逆、いかに密命あろうとも本当に斬るべき罪が相手に無いと判断したら…密命を下す者が橘右近から元上臈御年寄・如心尼になった今、彼女への信頼という点で未だに手探り状態の蔵人介は慎重に慎重を期す。将軍家毒味役でありながら裏御用として密命が下されれば奸臣成敗を行ってきた矢背蔵人介。業を背負い過ぎる男の活躍を描いた鬼役シリーズ第27弾。今作は用人、串部六郎太に心持っていかれる。彼の存在こそ矢背家にとっても読者にとっても救いだと実感。いい味出してる!2024/08/14