内容説明
依頼があれば、どんな譜面でも、必ず見つけ出す―楽譜探索人。彼は欧州から中国、果ては日本まで…古今東西に散った音楽に秘められる人々の過去まで解き明かす。忘れ去られた旋律が響かせるのは、いつかの罪の記憶か、はたまた美しき愛の残像か。第14回酒飲み書店員大賞受賞『奇譚を売る店』の魂を受け継ぐ、摩訶不思議の連作幻想短編集。
著者等紹介
芦辺拓[アシベタク]
1958年大阪生まれ。同志社大学法学部卒。’86年「異類五種」で第2回幻想文学新人賞佳作入選。’90年『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
177
どんな譜面でも世界中を駆け巡って、どんな楽譜でも必ず見つけ出す楽譜探索人の6話からなる短編。イギリス、オーストリア、ルーマニア、中国、フランスと、とにかく駆け巡る。各国の戦争、歴史が絡み読んでて、正直、説明みたいのが多くて、頭に入ってこない話もありましたが、まずまず良かったです。1話ぐらい明るい感じの話もほしかったかな。「本気」と書いてマジ、「愛」と書いてラブみたいなルビが、クセになるというか気になる。全く謎な楽譜探索人はどんな男なのか知りたくなりましたね。2019/07/21
KAZOO
119
この著者の「奇譚を売る店」がかなり興味を惹いたのでこれも読んでみました。題名からご存知のように江戸川乱歩の作品のオマージュのような(あとがきにも書かれています)きもしますが、内容はまるっきり違っています。6つの短編が収められていて舞台はさまざまな海外の国の都市などで歴史的にもあった事柄などがかかわっています。楽譜ということで音楽が絡んでいて私には楽しめる作品でした。2019/09/08
コジ
31
★★★☆☆ 偉大な名曲の影に埋もれた小曲であろうと、噂のみで語られる幻の作品であろうと、依頼があればどんな楽譜でも探しだ出す謎の人物。そして、その楽譜を手に入れた依頼者が辿る数奇な運命を綴った連作短編。一見すると「楽譜探偵」のようだが、あくまで「綺談」として仕上げている点など、コンセプトは正しく「奇妙な味」で好みのタイプなのだが、各話の冒頭、本編導入に至るまでの説明が長いのと、謎の人物の扱いが今ひとつ固まっていない感で物語に没入出来ず。結果、この手で最も重要な「何とも言えない歯がゆい読後感」が感じにくい。2019/07/08
ち~
27
古い記憶とともに残る音楽。その忘れらない音楽を探し求める依頼人に入手困難な譜面を届ける男。その譜面は、記憶の中の謎を解き明かしていく。短編6話。前作はゾッとするイメージだったが、今回はどこかホッとするものを残してくれる印象。心温まるロマンスの『悲喜劇ならばディオラマ座』もいいけど、とても幻想的な『城塞の亡霊』がおもしろかった。 2022/06/25
きょん
12
どんな楽譜も見つけ出す男を軸とした短編集。どれも戦争の影を感じるのでちょっと切なく哀しい余韻。西太合のオペラがオカルト風味が強くて面白かった。2019/07/04