出版社内容情報
マザーグースの唄声響く、難事件を引き連れて。奇才・山口雅也が満を持して放つ、〈キッド・ピストルズ〉シリーズ第四弾。初文庫化!
内容説明
遠く離れた塔から放たれた矢が密室の男に命中した!?パンク刑事十一年ぶりの復活作「誰が駒鳥を殺そうが」をはじめ、断崖絶壁の一本道で消えた子供達の謎「教祖と七人の女房と七袋の中の猫」、超能力者の子供ばかりが集う特異犯罪「超子供たちの安息日」ほか、「アリバイの泡」「鼠が耳をすます時」の全五編を収録。著者の全面改訂のもと、待望の初文庫化!
著者等紹介
山口雅也[ヤマグチマサヤ]
神奈川県生まれ。早稲田大学法学部卒業。大学在学中の1970年代からミステリ関連書を多数上梓し、’89年に長編『生ける屍の死』で本格的な作家デビューを飾る。’94年に『ミステリーズ』が「このミステリーがすごい!’95年版」の国内編第1位に輝き、’95年には『日本殺人事件』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
49
帰還というが、至極読みやすいトリックが多かった今作。 それでも楽しめるのは「教祖と七人の女房と七袋の中の猫」 両側が断崖絶壁の一本道の中で走るトラックの中で消失した7人の子供。 幾つか説が出るが、その中で猫や砂に幌と意味がある小道具なのが伏線だし、キッドの行動もらしさ満載。 「超子供たちの安息日」 超能力が使える子供たちがいる中で起きる殺人。 ミステリの前提が覆されかねない状況だが、しっかりと論理付けされたトリックであり楽しめる。2023/07/06
geshi
27
『誰が駒鳥を殺そうが』強力な冒頭の引き。トリックにやや強引さはあるが童謡の読み解きに表と裏を考えているうまさ。『アリバイの泡』3分の2のアリバイは面白いけどワンアイデア作品だな。『教祖と七人の女房と七袋の猫』幌や麻袋など細かい辻褄あわせが効いてる。人の見え方がガラリと変わる解決編。『鼠が耳をすます時』この殺害方法はアリなのか?そしてミュージシャンがこれやるか?受け入れがたい。『超子供たちの安息日』超能力が存在する前提での特殊推理。見せているものから見えているものを抽出する伏線回収。2019/06/04
マッちゃま
26
待ちに待った文庫化。本書の文庫化を知った昨年の秋より待ち続けておりました。中編3つと短編2つからなるミステリ。パラレルワールドのイギリスを舞台に、探偵の下でパンクな刑事(にゃ〜見えない)2人組が活躍するんだけど、あいも変わらず氏らしい世界観に直ぐに浸れました。次作も5月に文庫化、こりゃまた楽しみっす。特殊設定もあれば不可能状況からの殺人や事故にしか見えない事件など、この世界観の中でロジカルに説き明かせられていきます。「生きる屍の死」を思い起こされる場面も見受けられ、ちょいとホロリと感じたのはナイショ(笑)2019/03/23
Urmnaf
10
パンクスにして刑事のキッド・ピストルズのユニフォーム・エディションも4冊目。で、祝・初文庫化。ついに最も有名な(?)「コック・ロビンの死と埋葬」(♪だーれが殺したクックロビン)が登場。パンク刑事×マザーグースのコンビネーションは健在。キッドのインテリキャラが定着したせいか、パンク感は弱めに感じたけど。巻末の作者自身による(マザーグースの)解説だけでも読む価値あり。駒鳥を殺した真犯人が明かされます!2019/04/03
広瀬研究会
6
キッドとピンク11年ぶりの帰還。ふつうに帰ってきても構わないのに、しっかり趣向を凝らして読者サービスするあたりが(外見に似合わず)シャイで律儀なキッドらしい。『教祖と七人の女房と七袋の中の猫』が一番好きだけど、事件性といい読後感の良さといい、このシリーズとしては異色に思える。作者の覚書によればキッドとピンクは「まったく年を取っていない」らしいが、案外このブランク期間で成長してるんじゃないだろうか。2019/04/29