出版社内容情報
山口雅也[ヤマグチ マサヤ]
著・文・その他
内容説明
遺産騒動の最中、命を落としてしまったパンク青年のグリン。折しも、死者の甦り現象がアメリカの各地で発生し、彼もまたリヴィング・デッドとして甦ってしまう。霊園を経営する一族に巻き起こる連続殺人。その真相を、自らの死を隠したまま、グリンは追うのだが―。被害者、容疑者、探偵が次々に甦る前代未聞の傑作ミステリ。全面改稿により今鮮やかに甦る!
著者等紹介
山口雅也[ヤマグチマサヤ]
神奈川県生まれ。早稲田大学法学部卒業。大学在学中の1970年代からミステリ関連書を多数上梓し、’89年に長編『生ける屍の死』で本格的な作家デビューを飾る。’94年に『ミステリーズ』が「このミステリーがすごい!’95年版」の国内編第1位に輝き、’95年には『日本殺人事件』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chiru
122
「燃え尽きたほうがいい、消え去っていくよりも…」ある孤独なロッカーの一言。読み終えて振り返ると、この言葉に主人公のすべてが込められた物語でした。そして今までで一番、主人公と一緒に考え、迷い、泣いた物語。上下巻は長いけど、作者自身が作中で「小説は300ページくらいで事件が解決するのがいい」と言っちゃうので笑う!その時点で360P!しかし読了後も心を揺さぶる没入感は、これまで読んだ本の中で間違いなくNo.1✨「生き返り」という飛び道具のピースがカチリとハマった、未来永劫愛される大傑作でした!★5↑↑↑2021/09/26
セウテス
97
〔再読・下巻〕自分を殺した犯人を捜すグリンだが、次の殺人事件が起こる。警察が乗り込んでの捜査になるが、犯人と思われる者まで殺されてしまう。そして、遺体は蘇えるのである。グリン同様蘇った死体本人は、いたって知識は正常であるため自らの犯行を否定。死者を交えての推理合戦など、笑える所も多い。しかし犯人にたどり着く伏線は、いたる所に数多く配置されている。この特種な環境だからこそと考えると、案外思いつくかも知れない。ラストにはグリンの心温まるシーンが用意されているが、本作は年齢を重ねる毎に読むと思いが変わると思う。2019/10/03
森オサム
63
下巻読了。序盤の正直退屈な蘊蓄も全て伏線として機能しており、見事な本格推理を堪能した。死者が甦ると言う特殊な世界で起こる事件なので、動機の必然性とトリック成立の正当性が問われる所。提示されたヒントで真相にたどり着くのは難しいが、謎解きの内容は十分納得出来た。スラップスティックな場面も多く、作者の魅力がぎゅうぎゅうに詰まった作品だったと思います。以前読んだ時は海外のロックには興味が無かったが、すっかり洋楽ファンになった今では、その辺りもニヤニヤが止まりませんね。ただ、20年分死に近づいた事は考えたく無いな。2019/06/08
カノコ
42
何度目かの再読。やはり解決編の面白さに痺れる。死者が甦る世界でなぜ殺人が起きるのかという説得力、生者と死者それぞれの思惑、全てが世界観とマッチしている。惜しむらくは、解決編に入るまで事件の全貌が掴みにくいことか。作品を貫く衒学趣味は作品のモチーフと合ってはいるのだが、如何せん読みにくさは否めない。しかしなんと言っても特筆すべきはこのエピローグなのだ。わたしは時間が経つとミステリのトリックも犯人も綺麗に忘れてしまう質なのだが、この作品のミステリらしからぬ美しいエピローグだけは、いつまでも覚えているだろう。2021/08/16
山本真一郎
39
読了。思ったよりのんびり読んでしまったな、と。昨年から今年にかけて屈指の話題作となった「屍人荘の殺人」にとって草分けと言えるのが本作だと思う。ドタバタから解決に至るまで十分に楽しませて貰う事が出来た。昔若い頃には勢いで読めたものだけど今となっては色々と考えさせられてしまった。歳を取る毎に死に近付いている事と関係しているかどうかはさて措き、また何年か時間を置いた頃にこの作品を彩る衒学趣味と死の考察にゆっくりと付き合いたくなる様な気がしている。次に読む時には電子書籍になるか、そもそも自身が生きているだろうか。2018/07/08
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