出版社内容情報
松本清張[マツモト セイチョウ]
著・文・その他
内容説明
今津章一は、半年前に発足した社史編纂室で、東方食品社長の杠忠造を中心とした社史を執筆することになり、重役たちの会合にも同席する機会が増えた。そんな折、大がかりな宣伝活動により、看板商品となった栄養食品「キャメラミン」の、栄養価に対する疑問を呈した文章が、出回っているという話を耳にする。清張作品としては珍しい企業サスペンス小説。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年北九州市生まれ。給仕、印刷工などの職業を経て、朝日新聞西部本社に入社。懸賞小説に応募入選した「西郷札」が直木賞候補となり、’53年に「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。’58年に刊行された『点と線』は、推理小説界に「社会派」の新風を呼び、空前の松本清張ブームを招来した。ミステリーから、歴史時代小説、そして古代史、近現代史の論考など、その旺盛な執筆活動は多岐にわたり、生涯を第一線の作家として送った。’92年に死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
26
会社の中での表面に見える部分と実態の違いを描いた話です。起承転結の結はそんなにキレを感じませんでしたが、どう進行していくのかドキドキしながら読みました。2023/07/06
パチーノ
11
偶然ではあるが、読書中にカルロス・ゴーンが逮捕されて驚いた。企業小説という社会派推理小説で知られる松本清張の作品の中では異色ではないか。企業の栄枯盛衰。各々が権謀術数を駆使したことにより共倒れする。会社を私物化することは破滅に繋がる…。2018/11/21
ササヤン
5
社内政治についての話。人が死なない清張ミステリー。いつの世も、人は自分が属する組織の奔流に流されていく。それは企業だけではない。広告部の宣伝が購買意欲をそそる下りはおもしろかった2020/01/31
かみふうせん
5
企業もの。サスペンスというより企業にありがちなミステリー。急展開のどんでん返しの様な事はなく、それぞれに自分の徳、いや得と欲を追い求める。50年前も今も同じ何だなあと虚しさが。だから下町ロケットは癒されるんだなぁ…2018/11/30
URI(病気養生
3
人の死なない清張。社内政治ものだが食品会社がある栄養ドリンクを開発し売上好調だったが、その栄養ドリンクに問題があった…的なストーリー。社長の立志伝と栄養ドリンクの開発過程が面白かった2019/11/09