出版社内容情報
松本清張[マツモト セイチョウ]
著・文・その他
内容説明
銀座のバーから出てきた山中一郎は、ホステスのマユミと乗ったタクシーの中で、人だかりに気付く。見に行くと、一人の男が俯せで死んでいた。その男は、ある都政新聞の元記者、島田玄一。彼は、家族には土地の周旋をしていると言い、以前より収入が増えていたという―。武蔵野を舞台に、病院経営を巡る黒い霧と謎の連続殺人を描く長編ミステリー。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年北九州市生まれ。給仕、印刷工などの職業を経て、朝日新聞西部本社に入社。懸賞小説に応募入選した「西郷札」が直木賞候補となり、’53年に「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。’58年に刊行された『点と線』は、推理小説界に「社会派」の新風を呼び、空前の松本清張ブームを招来した。ミステリーから、歴史時代小説、そして古代史、近現代史の論考など、その旺盛な執筆活動は多岐にわたり、生涯を第一線の作家として送った。’92年に死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
竹園和明
39
昭和37年の作品で、当時の都内あちこちの様子が風景描写として登場。三鷹や立川が田舎町扱いとは驚き。この上巻では、殺人事件の周辺を刑事と元新聞記者、タクシー運転手、謎の女、病院経営者らが行き交う前段話。富士山の裾野のように広範囲に点在する人々が、様々な布石として描かれる。彼らがどのように焦点へ収斂されていくのか。作品自体に古臭さはあるものの、やはり構成力はさすがだ。2019/07/07
ランラン
7
久しぶりに著者の長編を読んだ。タクシー運転手も巻き込んだあたりから話が複雑化してどんな展開が待っているのかワクワク感満載だった。2021/07/10
コーデ21
7
地域図書館本。都庁絡みの贈賄、銀座のバア、タクシー事情などなど、古き昭和をまざまざと思い出させる描写が多く「昭和20年代生まれ」としては懐かしさ溢れる読書タイムとなりました。事件の成り行きは「偶然に次ぐ偶然」多発(;^^)いささか興覚めの部分もあるけど、それを補ってあまりある清張氏の筆運びの良さ!安心して読み進められました。さ、下巻を早く借りてこなくちゃ。2020/02/15
Melody_Nelson
6
家の本。現実逃避の推理小説。さすがに清張先生、プロットがよく練られていて面白い。あちこちの線が、どういう風に繋がっていくのか…。まだ謎だらけなので、下巻が楽しみ。この昭和の頃って、電話も1世帯1台ではなく、都庁職員が下宿みたいなアパートに住んでるし、個人情報保護も厳格じゃないし、社会(風俗?)を見る上でも興味深い。2020/04/19
ファーラス
3
感想は下巻で。2024/04/05