出版社内容情報
小泉喜美子[コイズミ キミコ]
著・文・その他
内容説明
粋で艶やかな新橋芸者の“まり勇”は、ハードボイルドなどの海外ミステリーが大好き。少女時代はメイヴィス・セドリッツやハニー・ウエストのような女探偵を夢見ていた。忙しいお座敷の合間に起きるミステリアスな事件に胸を躍らせ、恋しい刑事と謎を推理。聖ルカ病院、魚市場、歌舞伎座に本願寺―なんでも一級品の揃う築地を舞台にした都会派連作ミステリー!
著者等紹介
小泉喜美子[コイズミキミコ]
1934年東京築地生まれ。都立三田高校卒業後、英字新聞ジャパンタイムズ社に勤務。’59年「我が盲目の君(のちに「夜のジャスミン」と改題)」がエラリイ・クイーンズ・ミステリマガジン誌の第一回短編コンテストに入選。’63年に長編第一作の『弁護側の証人』(文藝春秋)を発表。その後、10年のブランクを経て、’73年に『ダイナマイト円舞曲』(光文社カッパ・ノベルス)で文壇にカムバックする。海外ミステリーと歌舞伎に精通し、東京下町っ子らしい歯切れの良い文体で、小説同様、評論、エッセイも数多く、翻訳者としても著名。’85年に51歳で急逝したが、その作品はリバイバルされ、新たなファンを拡げている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ハスゴン
33
今は女は20までと言ったら大変な事になりそうな感じもありますが、ミステリに対する優しい眼差しが感じられました2018/06/23
タカギ
26
オサレ。東京生まれ、東京育ちの東京を愛する著者によるミステリ。新橋芸者・まり勇による一人称。読んでいて、氷室冴子先生も小泉先生が好きだったのではないかな、と思ったりした。今ではこういう語り口、誰もできない気がする。「〜です」「〜ですのよ」「〜ねえ」とか、口語がいい具合に混ざり合って、とても心地良い。まり勇が好きなミステリや歌舞伎や猫は小泉先生が好きなもので、先生はまり勇のような人だったのかなあ、と思う。名前が出てくるミステリを一作も読んでいないので、そのうち調べて読みたいと思った。2018/06/22
紫の煙
10
昭和のお洒落なライトミステリーといったところ。自称ミステリ芸者は、ちっとも謎解きをしていない。帯も解いていない。解説に載っているトクマノベルスの表紙が良かった。2018/10/16
ホシナーたかはし
9
第一話の、ようく読んでいれば解る謎解きが一番好き。女性陣から「男って単純ね」て言われそうですが、男の九割老若問わず、あの状況におちいったら、絶対窓にかぶりつくね!絶対!2018/11/05
ともり
8
新橋の芸者まり勇が謎に挑む連作ミステリー。本格ものというよりは、まり勇の周りで起こる事件や謎を描いたライトなミステリー。女は帯も謎もとかないけれど、それを言うのは野暮だそうで(笑)「洗練されたミステリー」を求めた作者らしく、艶やかな芸者の世界と、まり勇の口語まじりの小気味がいい文章によって、色気と酒脱さを内包した一冊になっている。最後の手書き原稿もいいなあ。「ミステリーは成熟した大人のための娯楽である。」2018/12/20




