出版社内容情報
高林さわ[タカバヤシ サワ]
著・文・その他
内容説明
アメリカで三十年前に起きた母娘誘拐事件。複数の死亡者が出たその凄惨な事件の舞台となった大学町を避けるように、永島聡子は日本に帰ってきた。事件の生き残りだった当時三歳のニーナと同じ名前の女性を、一人息子の武頼が自宅に連れて帰ったことから聡子は解決した事件の真相に三十年ぶりに向き合うことに―。暗号を駆使した傑作本格推理小説。
著者等紹介
高林さわ[タカバヤシサワ]
1945年5月3日千葉県生まれ。中学教師、塾講師を勤めた後、退職。その後母親の介護などを。1981年「小説現代新人賞」を受賞。島田荘司選第5回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞に『バイリンガル』が選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょこまーぶる
55
読み応えのある内容だけど、難しい部分も多くて読むスピードに所々差が出てしまう一冊でした。母と娘の誘拐事件とその後の真相解明と娘の成長といった内容ですが、様々な事実が盛り込まれていて頭の中がごっちゃになる事が多かったですね。しかも、事件の真相に迫る言語障害を持つニーナの事件当時の発言の解釈の説明に関しては、専門家じゃなかったら理解できなかったんじゃないんでしょうかね。でも、事件から30年後の事件が解明されてからの家族の在り方の場面からはページを捲るスピードは加速しましたよ。で、装丁が素敵だなと思いました。2021/02/05
moonlight
21
本屋のポップに惹かれて手に取った。言語学者の周辺で起きた事件を構音(発音)障害に着目して謎解きをする、という着眼点は新鮮だった。事件の被害者の唯一の生き残りであるニーナの幼時の記憶があまりにも詳細なのが都合が良すぎてやや興ざめ。しかし、彼女の記憶と構音障害を重ね合わせて事件の全貌を解いていく過程は興味深く読み進めることができた。2019/01/08
shi-
17
構音障害、初めて知った。 なので非常に興味深く、面白かった。 新しい分野のミステリーを読んだ気がする。 ただ、肝心の事件にせまるまではやや長かったなぁ。2019/01/23
もも
9
”ていねい”なミステリーだな、と楽しみました。「聞き間違え」ではなく、子供のよくある「言い間違え」を言語科学で解明していく。そして、こんなダイイングメッセージって、本当にありそう、と思えるシチュエーション。母親の愛情など女性たちの気持ちに感情移入してしまうお話でした。2020/07/06
わんこ
4
うーん、30年前の誘拐事件の被害者だった幼児が突然訪問してきてその事件を思い出し再度解明するって話でした。面白くて止まらなくなりましたが気の毒な人達だらけ。構音障害については興味深く読みました。しかし最後の最後でどーんと落とされた。でも未来への希望を残すラストで良かった。2019/03/29