出版社内容情報
似面絵の注文は引きも切らないが本業の上絵師としての仕事はまだまだ修行中。ひたむきに生きる女職人の姿を描いた江戸お仕事小説。
内容説明
上絵師として、初めて着物を手がけることになった律。粋人として名を馳せる雪永が親しい女に贈るものだ。張り切って下描きを仕上げる律だが、なかなか良い返事がもらえない。そんな中、ある女から金を騙し取ったという男の似面絵を引き受けるのだが―。涼太との恋、仕事への矜持。心を揺らしながらもひたむきに生きる女職人の姿を描く、人気シリーズ第三弾。
著者等紹介
知野みさき[チノミサキ]
1972年生まれ、ミネソタ大学卒業。現在はバンクーバー在住、銀行の内部監査員を務める。2012年『鈴の神さま』でデビュー。同年『妖国の剣士』で第4回角川春樹小説賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のり
95
最初から「涼太」やるじゃないかと見直したが、やっぱりもう一押し足らない。「律」は苦心しながらも着物を初めて手掛け、訳ありの「千恵」に寄り添い、また一段と成長していく。今回も事件や騒動に振り回されたが、馴染みの妓楼「雪音」に洩らした一言が涼太の男を上げた。雪音の事はやりきれない思いが残るが…仕事と恋に揺れる律の気持ちの折り合いはつくのか…2018/12/21
九月猫
57
上絵師 律の似面絵帖シリーズ第三弾。…第三弾、だよね??と一行目を読んだ時点で諸々確認。先に読んだ読友さんが“一巻飛ばしたかと勘違い”と書いてらしたのに納得。お互いの気持ちを確認したふたり……なのにやっぱりやきもきしちゃうじれったさ。涼太の若旦那衆のお付き合いにもやもやした気持ちになる律。だよね、わかっていても割り切れないよね。でも今回はこのふたりよりも周りの人たちのお話がよかった。雪永さんとお千恵さん、青陽堂の女将さんと旦那さん。基二郎さんの過去。気になるのはお香ちゃん。次の巻が待ち遠しい。2018/04/27
baba
54
上絵師シリーズ3弾。上絵師として精進を重ねる律、職人 として成長しながらも涼太との恋に悩む。いつも自分の思いを封じ込めていた律が「もう少しこのまままで・・」と自分の思いを伝えますが、これからどうなるのか目が離せません。2018/01/05
のんちゃん
43
上絵師律の似面絵帖シリーズ第三弾。前巻で親の仇討ち、律の恋模様も一段落ついたので、もうおしまいと思っていたのだが、今回は律の本来の上絵の仕事をベースに律をはじめ、江戸に生きる様々な年代の人々、仕事や取り巻く環境も違った人達の恋心をまじえた お話で構成されていて、前二巻より艶っぽい雰囲気の一冊となって続いている。でも、なかなか律と涼太は進展しないわー(*´-`)もう、こうなったら、律と涼太の祝言までしっかり見届けたい、じゃなく、読みとげたい。(≧∀≦) 2017/11/14
真理そら
41
「あとほんの少しだけ、一緒にいて…」やっと律がここまで言えるようになった。涼太は一途だけど律の立場や女心に少し鈍感なところがある。それも含めて涼太の魅力なのかも。基二郎の意外な過去に驚く読者だが、基二郎らしいといえばらしい。千恵の複雑な心理状態のおかげで上絵師としての腕もあげたし、似ていない似面絵を描く度量もできたし、律の成長著しい巻だった。2017/12/26