光文社文庫
鴎外の婢―松本清張プレミアム・ミステリー

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  • サイズ 文庫判/ページ数 416p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784334775438
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

松本清張が文学史上の事実と虚構を巧みに結んだ異色推理中編! 『書道教授』も併録。

内容説明

明治・大正期の文豪を研究テーマにしている浜村幸平は、雑誌からの執筆依頼に、森鴎外が九州の小倉時代に雇っていた家政婦のことをテーマにする。現地取材をするうちに見えてきた謎。浜村の前に現れたのは壮大な歴史ミステリーに関わる「事件」だった。(表題作)銀行の外務係が書道を習い始めると、事件が起こる“日常ミステリー”作品「書道教授」も併せて収録。

著者等紹介

松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年北九州市生まれ。給仕、印刷工などの職業を経て、朝日新聞西部本社に入社。懸賞小説に応募入選した「西郷札」が直木賞候補となり、’53年に「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。’58年に刊行された『点と線』は、推理小説界に「社会派」の新風を呼び、空前の松本清張ブームを招来した。ミステリーから、歴史時代小説、そして古代史、近現代史の論考など、その旺盛な執筆活動は多岐にわたり、生涯を第一線の作家として送った。’92年に死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

51
小倉時代の鴎外と関わりがあった女性たちについて調べていた文筆家が事件に遭遇するミステリ。ノンフィクションに近い話なのかと思って読んでいると、いつの間にか、怪しい気配が漂い始める。後半の展開にはちょっと強引かなと感じる部分もあるが、鴎外に邪馬台国伝承までからめて、なんとも盛りだくさんなミステリだった。2023/03/06

PAO

28
「好奇心は婦人の性情中最も発展したものの一つなるべし。冒険談、探偵譚等のおもに婦人を以て読者となすはこれが為なり」…鷗外はこのように書いてますが、女性に限らず清張は「好奇心」が高じて事件に深入りしていく主人公の小説をいくつも書いており、今では当たり前の素人探偵のはしりを作った様な気がします。『鴎外の婢』でも何気ない文学調査が事件の発掘になってしまうという偶然を巧みに描いています。史跡や古墳を巡るシーンは後年の『火の路』と重なりました。古代史への思いなど清張のその後の作品を思う上でも重要な作品だと思います。2019/06/21

金吾

25
「書道教授」は男のあまりにも優柔不断かつ身勝手さに辟易しながらも、書道教授の意外さが良かったです。「鷗外の婢」はアプローチを楽しむことが出来ました。2023/11/09

kaoru

14
『書道教授』『鴎外の婢』の2編を収録。『書道教授』は上品な未亡人の裏の貌とそれに乗じて犯罪を行おうとする男の破綻を描く。『鴎外の婢』は小倉時代の鴎外の婢たちを調査する歴史家が現地に赴いて彼女たちの子孫を調べるうちに犯罪に突き当たる中編。鴎外の日記を紐解く淡々とした記述から、現代の殺人が暴かれる展開にはびっくり。鴎外に対する著者の敬愛と興味が伝わってくる。「好奇心は婦人の性情中最も発達したるものの一なるべし」という鴎外の『心頭語』の一節が実にリアルに伝わってくる作品。清張の弱者への同情も感じられる。2018/05/13

fumikaze

13
「書道教授」「鴎外の婢」の2篇入り。「書道教授」はサスペンス風でドキドキさせられる。ただ、主人公が周囲の女性達を常に「女」として見ているのが、なんだかな、という感じ。(妻のことは女性として見ていないのも不思議)。「鴎外の婢」は古代史が絡んでいて、私は部分的に読み進めるのが困難だったが、歴史好きな人には楽しめるだろう。2020/01/02

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