出版社内容情報
室町から戦国時代にかけて生きた兵法家、愛洲移香斎(あいす・いこうさい)の波乱に満ちた人生。
内容説明
新陰流など数々の流派の源流となる「影流」を開いた愛洲移香。剣術史に大きな足跡を残しながらも、その生涯は謎に包まれている。少年だった移香斎が、妖術を使う宿敵・烈拐との死闘や、北畠家の娘・胡蝶姫との愛、明国への渡航などを経て成長し、やがて神秘的な体験の末に影流を開眼する―。伝説の剣聖の波乱万丈の生涯を。圧倒的なスケールで描く時代巨編!
著者等紹介
好村兼一[ヨシムラケンイチ]
1949年東京生まれ。パリ在住。東京大学在学中に全日本剣道連盟学生指導員として渡仏。以後45年フランスで剣道指導に携わる。剣道は最高段位の八段。2007年に『侍の翼』で小説家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タカシール
16
影流は剣術三大源流と呼ばれるうちの一つ。(他に念流、神道流がある)愛洲移香の少年時代から物語が始まる。美しい姫との出会い、妖術使いとの戦い、明国への旅。そして時代は室町後期、世が乱れる応仁の乱の頃。スケールが大きく冒険小説のようにも楽しめるが根底に流れるのは移香の揺るぎない信念を感じる。無常なれどそれこそが自然。自然を敬い、自然とともに生きる清き心。『伊藤一刀斎』同様、好村先生の本には心が洗われる気がする。2017/09/01
旗本多忙
5
たぶん一年程前に読んだだろう。わらわを負かす男と結婚し、強い子供をもうけるのじゃ!とある姫君に好かれて契りを結んだ移香斎は、時が来るまでまっていたが‥‥私は、いつ帰ってくるのかとハラハラして読んだ。意外な結末には驚くも何だか可哀想だったな。若き日の陰流始祖の小説です。2015/07/01
Mikey
2
実在の人物だが記録が少なくよく知られていない愛洲移香斎の物語。著者の調査能力の高さと創造力の深さがうかがい知れる話で節々に納得しつつ読み進める。愛洲一党、勘合船、明への旅、北京での戦いなどさまざまな場所で読み応えがあるがやはり胡蝶姫との間柄は全編通して柱になっていて物語の展開を追うのが楽しい一冊だった。著者が剣道8段って最高位なので剣劇もいい加減でなく素晴らしい。 2020/07/02
niz001
2
初好村兼一さん。後に続く影流の開祖愛洲移香斎の物語。いまいち知られてないのはそもそも室町時代の人なんで資料も少ないから仕方ないねんけど。2015/06/05
こたろう
1
胡蝶が最後に娘を介して戻ってきた。執念なのか。もっと早く登場してもよかったのでは。それにしても厭世し、剣術修行に向かうのは、誉められたこうどうではない。独りよがりな主人公という印象です。2015/05/19