出版社内容情報
幸せを夢見て、新しい容姿を選んだ2人。手術後に辿るそれぞれの意外な生き方を軸に、変身願望の虚構を描く。
内容説明
二十歳の繭村甲斐子は、大きな瞳と高い鼻、豊かな乳房とくびれたウエストを持つ女性だった。だが、彼女は名医・大曾根に懇願し、全身整形をする。一方、同郷の望月阿倍子も、社会人となった新生活を機に整形。その姿は甲斐子そっくりになった。正反対の考えのもと、整形をした二人の、整形後の運命はいかに―。美しさとは?幸福とは?根源を問う衝撃作。
著者等紹介
姫野カオルコ[ヒメノカオルコ]
1958年滋賀県甲賀市生まれ。独特の視点とエッジの立った筆致で読者層は男女同数。『昭和の犬』で第150回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
96
読友さんの感想より。恵まれた美貌を持つ甲斐子は「計画」と称して「不美人」へと全身整形をし、容姿にコンプレックスがあった阿倍子も社会人になったのを機に整形をする。正反対の考えを持つ二人の行く末は如何に。「美しさ」とは何かを根源的に問う作品。何故「整形」が社会一般的に後ろめたい事、隠さなければならない事なのかをずばり指摘していて、読んでいて目から鱗が落ちました。私も容姿にコンプレックスがあるので整形は肯定派。それで自信が持てるなら良いと思う。でも見た目の良さだけが全てでは無いのだなぁと身につまされる思いです。2017/07/10
明智紫苑
33
昔、図書館で借りて読んだ本の再読。ヒロインコンビの一方から中村うさぎさんを連想するが、別にモデルではないだろう(そもそも整形手術の方向性が全く違うし、時期的にも違う)。しかし、反フェミニズム並びに反フェミニスト的な記述がいくつかあるのは、やはり某フェミニストに対する反感の表れなんだろうな。姫野さんはうさぎさんとはまた違う方向性で潔癖な人なんだろうと思うのね。2016/04/08
milk tea
32
読みにくくて、思いのほか時間がかかってしまった。見た目のこだわりから始まった整形だったけど、そんな美しさよりも自分らしく生きる方が幸せってことだったのかな。まさかの3度の鼻の手術、酷すぎるよー。2018/06/02
bunmei
31
『昭和の犬』で直木賞受賞した姫野氏の1999年の作品。その作風は女性心理の内面に鋭く迫り、前衛的な文言で綴られ、今回のテーマである整形手術を通した女性の生き方に一石を投じといます。主人公の甲斐子と安倍子は、旧約聖書のカインとアベルから準えるている知り、主人公の立ち位置も見えてきました。誰もが羨む美人でありながら、ブスになる整形手術をした甲斐子。自分がブスで甲斐子のような美人になりたいと手術をした安倍子。その結果、2人の生き方はどう変わったのか…。姫野氏の「モテる・美人」の論が各所に散りばめられた作品です。2017/08/09
aax74370
30
★★★☆☆ 姫野作品は 3冊目なんですが、私にはやはり合わないようです。。。美人→ブス ブス→美人 に整形した2人のそれぞれの運命が描かれたお話ですが、女性向けのように感じました。。。 2015/11/07