内容説明
容姿も境遇もまったく異なる五人の女性。共通項は人妻、三十五歳、そして男性アイドルユニット「スノーホワイツ」の熱狂的ファンであること。ステージ上の「恋人」に注ぐのは、歪だけれど、狂おしいほどにひたむきな愛。たとえ手が届かなくとも、たとえ現実が悲惨でも、「彼」さえいれば、人生は美しい―。女の本音を余すことなく描いた“最凶恋愛小説”。
著者等紹介
宮木あや子[ミヤギアヤコ]
1976年神奈川県生まれ。2006年「花宵道中」で第5回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞と読者賞をW受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
271
アイドル崇拝と言うよりは、女性たちのマウンティング小説ですね。こう言う心理はできれば男性には読んで欲しくない(笑)と思うくらい、女子の心の奥ヒダがよく描けています。私も心の奥で「あるある」連呼しつつ読了。はぁぁぁ、楽しかった!2016/12/31
さてさて
178
『社会のヒエラルキーの天井は透明で上階層の人の足の裏は見えるが、ものすごく分厚くて破れない。そして上へのぼるための階段は存在しない』。35歳の女性五人が短編ごとに主人公を務めるこの作品では『社会のヒエラルキー』の中でそれぞれの今を生きる彼女たちの姿が描かれていました。男性アイドルユニット『スノーホワイツ』のファンであることを共通に主人公たちが繋がっていく様を見るこの作品。宮木さんならではの強い断定口調の切れ味の鋭さに酔うこの作品。憧れの存在がどんな時でも人生を明るく照らしていくことの貴さを見た作品でした。2023/12/14
りゅう☆
96
夫との間に子供ができない桜井、ダメ夫と息子を持つ益子、才色兼備で常にトップだけど独身隅谷、夫は小説家で隠れセレブだが普通を求めてきた山田、BL小説に再復帰をかけるデブブス片岡。容姿、生活環境が全く違う5人の共通点は35歳女性、アイドルグループ「スノーホワイツ」の熱狂的ファンということだけ。でもそんな5人がそれを軸に繋がっていく関係性が面白い。既婚者たちが浮気夫に芽生えた、もうどうでもいいという感情とアイドルに対する愛情の温度差がいい。読んでて楽しいだけでなく、隅谷編の最後のチカちゃんの言葉には感動。2016/08/27
優希
94
置かれている環境の全く違う5人の女性たちの「婚外恋愛」が面白かったです。人妻で35歳の彼女たちは男性アイドル「スノーホワイツ」の熱狂的ファン。狂おしいまでの恋心をステージ上の「恋人」に注ぐ姿には手の届かない想い人に憧れて、手の届く人には背を背けてしまう心理が重なります。彼女たちが抱える不満が赤裸々に語られる様子はユーモアを感じさせ、リアルでもありました。現実に嫌なことがあっても「彼」がいればと思うファン心理をカラッと描いているのに共感が持てました。一途なハマり方は凄いですけれど。2015/10/10
まさきち
84
何もかも恵まれた境遇から普通の境遇、そして日々生活に困窮している境遇とそれぞれ異なる状況の5人の女性達。彼女たちの共通点は35歳、そしてデビュー前のアイドルグループ・スノーホワイツのメンバの熱狂的なファン。それぞれが何かしらゆがんだ部分を抱え、満たされないものを抱えている姿が描かれていて各章うすら寒いものを感じたけれど、最終章でそれぞれがひょんなきっかけから交流を持ち、集まりながらも、常にそこにいる人達をねたみ、見下し、値踏みをしているところが一番怖かったです。2018/02/08