内容説明
「警官を殺す」と息巻く大男の消息を鮫島が追うと、ある犯罪集団の存在が浮かび上がる。中国残留孤児二世らで組織される「金石」は、日本人と中国人、二つの顔を使い分け、その正体を明かすことなく社会に紛れ込んでいた。謎に覆われた「金石」に迫る鮫島に危機が!二十年以上の服役から帰還した大男が、新宿に「因縁」を呼び寄せ、血と硝煙の波紋を引き起こす!
著者等紹介
大沢在昌[オオサワアリマサ]
1956年名古屋市生まれ。’79年「感傷の街角」で小説推理新人賞を受賞しデビュー。’91年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞、’94年『無間人形新宿鮫4』で直木賞、2001年『心では重すぎる』、’02年『闇先案内人』と連続で日本冒険小説協会大賞、’04年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞、’06年『狼花新宿鮫9』で日本冒険小説協会大賞、’10年に日本ミステリー文学大賞、’12年『絆回廊新宿鮫10』で日本冒険小説協会大賞、’14年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんたろー
189
シリーズ10作目は、昨今の中国人が席巻する東京と中国残留孤児が絡んだ話…事件自体は割と単純で驚きはなく、ゲストの掘り下げも今までで一番弱かったのが残念(トシミの純情ゆえの過ちは哀しかったが)。それよりも、鮫島にとって、衝撃的な別れが二つもやってきたことが本巻のキモだった。大きな味方を失った鮫島が、何を糧に生きてゆくのか今後の展開が気になるし、登場するであろう新キャラにも興味津々。薮、香田、ママフォースが健在なことを祈りつつ、8年ぶりの新作『暗約領域』が楽しみだが、その前に番外編の短編集を読まなくては!♬2020/08/15
タツ フカガワ
64
鮫島が追うのは、22年間刑務所のなかである警察官に対して殺意を煮えたぎらせながら出所した男。その男と22年ぶりの再会に新宿を訪れる中国人は、「金石」という中国残留孤児二世らで組織された凶悪グループの鮫島暗殺に手を貸していた。さまざまな思惑を胸に持った男たちが新宿歌舞伎町のある一点で交錯するクライマックスの緊張感が凄い。その後のあの二人の喪失に涙が止まらなかったこの10作目はシリーズ屈指の傑作かも。表題の意味も納得です。2025/03/15
Nao Funasoko
60
昨年末から積読山脈を築いてた『暗約領域 新宿鮫XI』に取り掛かる前の復習として前作を再読。桃井の死や晶との別離とシリーズ中でもターニングポイントとなる作品だったなと読みだしてすぐに思いだした。それにしても新宿鮫シリーズはどれもそうだけれども表題のつけ方が秀逸。読了後、改めてタイトルを確認し唸ってしまった。2020/03/05
KAZOO
58
新宿鮫シリーズ第10作目ですね。私は、大沢さんのホームページか何かで、毎週連載されるのを読んでいてハードカバーがでたときには読みませんでしたが、今回文庫版になって再読です。やはり、いつもながら読み直しても楽しめます。今回は特に最初のころからの相棒とでも言うべき人物がいなくなり、恋人もとも別れてということで終了かなとも感じたのですが、「金石」というグループの決着がまだつかないこともあって続くことを祈っています。2015/02/26
鍵ちゃん
53
「警官を殺す亅と息巻く大男の消息を鮫島が追うと、ある犯罪集団の存在が浮かび上がる。中国残留孤児二世らで組織される「金石亅は、日本人と中国人、二つの顔を使い分け、その正体を明かすことなく社会に紛れ込んでいた。謎に覆われた「金石亅に迫る鮫島に危機が!20年以上ね服役から帰還した大男が、新宿に「因縁亅を呼び寄せ、血と硝煙の波紋を引き起こす。新宿鮫の長編の最後なんだけど、話の最後が…。これはまだ続くな。今回は失った物が多く、一匹狼となったが、終わり方が中途半端感があり、今回で終了ではないな。一時休戦ということか。2022/10/04