内容説明
東京から来た教科書会社の営業マンが、吹雪の中、崖から転落死した。前日の夜に猿ケ京温泉に同宿した若い女と、被害者を恨む男が疑われるが、二人にはそれぞれ強固なアリバイがあった。所轄署の津村刑事はアリバイ崩しに挑む!(「偽りの群像」)。死後も新たなファンを獲得し続ける中町信の中短編3編を収録。絶妙なトリックと共に、にじみ出る情感が味わい深い傑作集。
著者等紹介
中町信[ナカマチシン]
1935年、群馬県生まれ。早稲田大学文学部卒。出版社勤務の傍ら、執筆活動を開始し、退職後は執筆に専念。数多くのミステリー作品を発表した。2009年逝去。2013年、『模倣の殺意』が数十万部超えのベストセラーになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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流竜会
58
3篇の短編は、いずれも「不在証明」トリック。1960年代後半の作品。時代が物語るのは列車の時刻トリックのみならず、人間の考え方や価値観にも及ぶ。その時代を知らないと楽しめないかと云うと、そんなことはなく、或る人は懐古趣味に遊びながら情景を目に浮かべるだろうし、或る人は現代に置き換えながら頭脳戦を楽しむだろう。「不在証明」の為に準備された所謂からくりや、小道具の数々。ひとつずつパズルがはまる快感と、我が頭脳の閃きと残りページとの競争は、推理小説ならではの醍醐味でもありました。r2016/09/25
坂城 弥生
23
時刻表トリックは正直苦手だなぁ、と思った。面倒くさい…2020/07/29
桂 渓位
16
読みたい本設定にしていた作品で、ようやく読了しました📕 3篇のアリバイトリックは、スマホも携帯もないだけに、流石に時代を感じますが、登場人物の心情、教科書会社の闇が伺えて興味深かったです✨ 3篇共、津村刑事が登場しますが、所轄や年齢、雰囲気の描写から察するに、それぞれ別人みたいですね✨ 2025/02/10
🐾ドライ🐾
14
中編3編。狙った相手を殺害するため周到に立てた計画、恨みを抱くに至った経緯…捜査を進めれば「犯人はこの人以外にいない」と思われる状況だが、動機とアリバイのバランスが良いので容疑者と刑事の攻守、駆け引きが楽しめる。時刻表を用いたアリバイ工作は、日本の鉄道会社が分刻みで正確に機能してこそだろう。刑事ドラマでいうところのエンディング曲とスタッフロールが流れる直前あたりで話が締められるのも味があって良い。 今は億を超える宝くじの1等が〔800万円〕というのは時代を感じるなぁ。2022/10/06
ともちん
14
短編3作からなる1冊。最後の時刻表を駆使した伏線が難し過ぎて途中挫けそうに。最後は綺麗にどんでん返し。昭和感たっぷりで2時間ドラマが好きなあたしには楽しめました。この中でベストは苦労したので最後の愛と死の映像に。2020/07/04




