内容説明
東大在学中に司法試験に合格し、エリート検事の道を邁進する霧島三郎。しかし、婚約者・恭子との結婚を間近に控え、彼女の父親が突然の失踪。のみならずヘロイン所持、殺人の嫌疑までかけられる…。瞬く間に危機的状況に追い込まれた三郎は、愛を貫くため、辞職覚悟で独自捜査に乗り出す!苦悩しながらも奮闘する若き検事の姿を、スリリングに描き出す傑作ミステリー!
著者等紹介
高木彬光[タカギアキミツ]
1920年青森県生まれ。京大工学部卒。’48年に江戸川乱歩の推薦による『刺青殺人事件』でデビュー。’49年『能面殺人事件』で探偵作家クラブ賞を受賞。’95年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
204
★★☆☆☆ 霧島三郎シリーズ第1作目。 三郎のやってる事は実際は刑事のやるべき事だし(検事がやってダメではないけど)、検事としての倫理に外れた行為も目に付き違和感が拭えなかった。 また婚約者の恭子が可愛いだけで魅力に欠けており、親友の悦子の方がよっぽどヒロインに相応しい気がした。 真相もかなり分かりやすく、ほぼ想定内の結末で驚きは皆無。良いように言えばオーソドックスな刑事ミステリだが、今はもっと意外性にあふれ、感動させてくれる小説がたくさんあるので、敢えてこの本を勧める必要はないだろう。2021/01/25
coco夏ko10角
22
検事になってまだ数年だった頃の霧島三郎、若い。婚約者の父親が失踪、からの殺人事件の容疑者に。シリーズの他作品を読んだことがあるので真相はなんとなく。父親が殺人犯かも・婚約破棄になるかも、とやつれて不安定になっていく恭子…恭子と三郎のつながりいい。2020/11/22
志摩子さん
6
事件や犯人自体はそれほど魅力的ではなかったです。事件のために、愛し合っていながら会うことも話すこともできなくなり、まるで引き裂かれるような主人公の検事霧島三郎と恋人の恭子とのつながりがよかったです。WAIT and see、「待て、そして希望せよ」という言葉が心に残りました。2015/09/05
都人
2
2週間のベルリン滞在中に読む。この本は50年ほど前、新刊の時に読んだ。その当時高木彬光は大変有名な作家として知られていた。今読むと時代を感じるところもあるが。2019/02/19
志村真幸
1
もともと1964年にカッパ・ノベルスとして出たもの。 入り組んだプロットに、危ういお色気がまぶされた長編ミステリだ。 最後の謎解きはなかなかのもの。現在でも読む価値がある。 しかし、ヒロインがなんとも。20世紀前半のアメリカのミステリでよく見かけたような、優柔不断で、周囲に頼らず抱えこみ、結果として窮地に陥ってしまうタイプ。かなりイライラさせられた。 619ページという厚さもまた……。 2019/01/04