内容説明
稲木は楢沢莢子への愛に溺れてゆくが、莢子の異性問題から無理心中事件に巻き込まれる。一方、川西は裏口入学金の着服が問題化。派閥抗争に明け暮れる二人のライバル教授がたどり着いた先は―。地位と金と女を追求する教授、巨大な大学資金に群がる銀行、裏金と不正入試。象牙の塔の生々しい実態に迫り、理想を失った最高学府を糾弾する社会派ミステリーの傑作!
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ] 
1909年北九州市生まれ。給仕、印刷工などの職業を経て、朝日新聞西部本社に入社。懸賞小説に応募入選した「西郷札」が直木賞候補となり、’53年に「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。’58年に刊行された『点と線』は、推理小説界に「社会派」の新風を呼び、空前の松本清張ブームを招来した。ミステリーから、歴史時代小説、そして古代史、近現代史の論考など、その旺盛な執筆活動は多岐にわたり、生涯を第一線の作家として送った。’92年に死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
43
          
            下巻に入り、弁護士まで「因縁」で絡んでくるといくら何でも「清張センセ、出来過ぎ!」という気持ちに。まぁ、ラストは醜悪そのもの、因果応報、天網恢恢・・あらゆる言葉が合いそうな結末。表題の意が掴めぬまま、筆者が学歴に立ち向かってきた経緯などを思い起こし、最高学府(銀行や弁護士など高学歴者も含め)揶揄の意をこめてのペン遊びもあるかもと感じた。最近とみに減った「巨躯のトップ」有田が登場するたびに「可愛らしい口元」と表している・・何やら気持ち悪くなったけど、おバカにしているのかな。2015/10/05
          
        こういち
12
          
            人間を蝕むものの元凶を見事に描いた大作。学問の最高学府である大学を舞台に、今も変わらぬ人間という種族の浅ましさを際立たせる。人生の目的とは何か。一つにそれは快楽の追求であると言えるが、その求め方を取り違えることで、培ってきた実績とこれから先の人生をも変えてしまう魔物。私利私欲を慎まねばならぬことは勿論のこと、一時のココロの隙に生じる迷いを如何に律するか。これを常日頃から意識していることの難しさと大切さを改めて痛感した。2014/08/09
          
        ランラン
7
          
            後半は主役が入れ替わった。裏金問題はいつの時代もなくならないしもし表ざたになってもそれは氷山の一角であろう。2021/10/07
          
        moleskine_note
4
          
            象牙の塔の中で、繰り広げられる物語は多岐にわたって、読者の立場によって楽しみ方が変わるかなと感じた。ラストとその後を想像してみると気の毒なばかりである。2014/07/16
          
        ササヤン
3
          
            大学入学試験の紛失に端を発した大学教授の派閥、覇権争い。大学の運営の内幕が垣間見えてよかった。書斎や研究室に閉じこもって世俗のことに関心がないイメージの学者たちが、出世欲や愛欲にまみれて腐心するさまはある種ギャップがあり、よかった。ただ、登場人物が蜘蛛の巣のように繋がった人間関係はあまりにもご都合主義である気が……2020/04/17
          
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