内容説明
大学で犯罪心理学を教える高倉は、妻と二人、一戸建てに暮らす。ある日、刑事・野上から一家失踪事件の分析を依頼されたのを契機として、周囲で事件が頻発する。野上の失踪、学生同士のトラブル、出火した向かいの家の焼死体。だがそれらも、本当の恐怖の発端でしかなかった。「奇妙な隣人」への疑惑と不安が押し寄せる、第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
著者等紹介
前川裕[マエカワユタカ]
1951年東京生まれ。一橋大学法学部卒。東京大学大学院(比較文学比較文化専門課程)修了。スタンフォード大学客員教授などを経て、法政大学国際文化学部教授。専門は比較文学、アメリカ文学。『クリーピー』で第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビュー。『2013年版このミステリーがすごい!』では「新人賞ベストテン(茶木則雄・選)」で第1位となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
180
この作者は初めてです。映画を見ていたので原作ではどうなのかと思い、手に取ってみました。映像化されたほうとかなり話も異なっていますが、映画の方が原作よりも怖さを感じました。原作の隣人にはあまり怖さを感じないのですが、香川照之の方が本当にこわい気がします。小説の最後の決着はあっけないというか、このようなものなのか、という気がして少し肩透かしの感がありました。2018/02/12
nobby
179
非常に読みやすかった。少し異様なお隣さんの評判から数年前の一家失踪事件も絡んでくる“隣人”の恐怖。実際の凶悪事件とも重なり興味深く読み進む。途中、大学教授な主人公の周囲に伏線匂わす描写が多いも肩透かし。勝手にもっと複雑な真犯人を追ってしまった(笑)悪の権化とされる人物もちょっと中途半端に終わったのが残念…何より犯罪心理学を教える立場で、その軽率で浅はかな行動に違和感が強かった。2016/02/11
🐾Yoko Omoto🐾
177
前半は不気味な隣人の影を匂わせながら、主人公の周りで起こる友人の失踪やストーカー行為、放火殺人など、一体何が起こっていてどう繋がるのか非常に惹き付けられる展開だった。だが、総じて面白かった割には物足りなさや突っ込みどころが残る…という印象だ。“なりすまし事件”でストーリーを牽引しながらも、結局そこには重点が置かれないというアンバランスさに加え、期待していた展開とは違う方向に軸をずらされたことが原因か…。主人公が要所要所で浅慮過ぎ、犯罪心理学者という設定を生かしきれていないのも気になった。次作に期待。2015/11/04
のり
161
警察が捜査のプロなら、この犯人は犯罪のプロだ。人の弱味につけこむ寄生虫。なりすまし家族をつくり、支配し隠れ蓑とし生活する。一見人当たりも良いが、一皮剥けば凶悪な連続殺人鬼。何度も後一歩までいくが、逃走能力も高い。異常な精神回路と人心掌握力。犯罪心理学者+警察VS稀代の悪魔。様々な不可解が絡み合い迷走するが驚愕の真実がラストを飾る…2019/02/11
せ~や
155
隣近所との交流が薄くなっている現代であれば、十分に起こり得る犯罪だなと思いました。隣近所の人の顔を思い出せと言われるとなかなか難しい。ただ、文章的には状況説明が多い割に、大事なとこの説明が抜けてて、ややわかりにくくなる時があったり、読んでて疲れる所もあったり。学生たちの一件は果たして必要なのか…。後半になるにつれて、先が気になってしまう感じでした。2017/09/07