内容説明
十三歳の八木沢順は、刑事の父・道雄と東京の下町に引っ越した。慎吾という友人もでき新しい生活に慣れたころ、町内で奇妙な噂が流れる。“ある家で人殺しがあった”と。そんな矢先、荒川でバラバラ死体の一部が実際に発見されてしまう。更に、順のもとに事件の犯人を知らせる手紙が!?刑事の子・順は捜査に乗り出す!宮部みゆきの初期傑作が装いも新たに登場。『東京下町殺人暮色』改題書。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年東京都生まれ。’87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。’93年『火車』で山本周五郎賞。’97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞。’99年『理由』で直木賞。2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、’02年司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞。’07年『名もなき毒』で吉川英治文学賞。’08年英訳版『BRAVE STORY』でThe Batchelder Award受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
139
宮部みゆきさんの初期の作品。陰惨な事件に対し、犯人は予想がつく。動機や背景が見破れなかった。少年犯罪の量刑がひとつのテーマでもある。その時の社会問題に目を向け、紡がれるストーリーは実に読ませるものである。犯人達の恐るべき獣性。彼等を亡きものにしようとした人物の悔恨、そして画家の人を信じる姿に救いをみる。宮部みゆきさんの作品は陰惨なテーマでも、どこかに人の心の善意が現れる。そこが仄かな暖かみとなり、感慨深い読後感を与えてくれる。新作も追いかけながら旧作も読みたい作家さんです。家政婦のハナさんも良かった作品。2019/12/19
昼寝ねこ
104
宮部みゆきさんの初期作品。初出は1990年(タイトルも違う)だが古臭さを微塵も感じさせないのは流石。扱う題材、物語の発端や展開などは、その後の『模倣犯』『ソロモンの偽証』など多くの傑作に繋がる作品だと思った。推理小説なので内容にはあまり触れないが、犯罪に関わった大人たち(真犯人を含む)には同情すべき点が多少あっても、未成年のガキどもがみんな胸クソだった。こいつらサイコパスかよと思った。犯罪を起こしたガキどもだけは、もっと悲劇的な結末に追い込んで欲しかった。さほど長編ではないのでほぼ一日で一気読みした。2024/11/17
chimako
87
初出は30年前。少し時代がかった所もあるけれど全然古さを感じない。中学生にそこまでやらせるか……ということになるとちょいと首を傾げるけれど。30年前の中学生は確かに今よりかなり大人だったかもしれないし、大人は大人として子どもを守るのが当たり前だった。途中までは先が気になりつつも読書が進まず時間がかかってしまった。落ち着いて読みはじめたところで最後があっけなくちょっと残念。謎の女性があの絡みではもったいないような。そして「やっぱりね」と思わせるが今一つ納得できず。宮部みゆきは時代小説が好きだなぁ。2023/01/06
NAO
84
宮部みゆきの初期作品。刑事の子八木沢順、町内会長の子で柔道部員の後藤慎吾という二人と、進学塾に通っている少年たちと事件に深く関わっている少年たちという、全く両極端の少年たちを描くことで、少年たちを取り巻く社会を痛烈に風刺している。かなり以前の話なのでちょっと古臭いところはあるが、その古くさい大正生まれの家政婦ハナさんが、何ともいい味を出している。2019/01/30
相田うえお
79
★★★☆☆まったく作品と関係ないですが、当方の友人に救急車の運転手がいます。消防署勤務なんですが。。まったく関係なかったでしょ。刑事の子に対抗して消防署の友。2015/12/04