内容説明
会社員の青年・梅木隆介はある夜、夫婦と名乗るヒッチハイクの男女を車に乗せた。高貴さをも漂わせる美女と粗野な中年男は、まるで不釣り合いなカップルだった。好奇心が燃え上がる梅木は、車に残された万葉の古歌が彫られたペンダントから女の正体を突き止めようとする。だがそれは、甘い死の香りが漂う追跡行だった。謎が謎を呼ぶロマンチック・サスペンスの傑作!
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年北九州市生まれ。給仕、印刷工などの職業を経て、朝日新聞西部本社に入社。懸賞小説に応募入選した「西郷礼」が直木賞候補となり、’53年に「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。’58年に刊行された『点と線』は、推理小説界に「社会派」の新風を呼び、空前の松本清張ブームを招来した。ミステリーから、歴史時代小説、そして古代史、近現代史の論考など、その旺盛な執筆活動は多岐にわたり、生涯を第一線の作家として送った。’92年に死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yuna Ioki☆
49
1538-234-11 列車が新幹線でなく特急や夜行寝台で移動するとか金銭感覚などは時代を感じさせるが半世紀以上以上前に書かれたとは思えない。ミステリアスな女性に惹かれるのはいつの時代も同じか。それとなく悟らせるラストが秀逸。2016/07/08
June
32
山道で偶然車に乗せ送ってあげた、女の美しい面影が忘れられない主人公。不釣り合いな男が一緒だったから余計気に係るのか…車中に落とされた忘れ物を手掛かりに、男の執着心が女に迫っていく。調べれば調べるほど、妖しい事実が…。箱根、伊豆、湯河原、そして岩国?4分の3を過ぎても真相が見えてこない。どんな風に決着させていくのだろうと興味をそそられたが、これは本格ミステリーとは違ったー。でも楽しめました。解説より『内海の輪』『二重葉脈』『アムステルダム運河殺人事件』を読んでみたいと思いました。2018/12/31
yumiDON
23
ある日、梅木は男女の二人連れを車に乗せる。その片割れの女性が気になり始める梅木。その女性を追い始めるが、女性の正体が全くつかめない。女性を追いかけていくと、秘密に秘密が重なっていく、クラシカルなストーリー。謎を持った女性というのは、やはり魅力的なのですね。情緒あふれる梅木の道中は、さすが松本清張先生、と言うべき。時代設定は昔なのに、違和感なく読める筆力は素晴らしいです。2015/03/10
Yu。
20
彼女は一体何者なのか‥ 偶然出会った謎の女性に魅せられてしまう主人公の執拗な追跡劇(ストーカー)から、彼女絡みの数々の不可解な事件が垣間見れる歪曲ミステリー。。そうくるかぁ‥ 主人公の執念もさる事ながら、彼女は更に‥ですね。。乱歩が描いていたらどうなってたんだろ‥ と思わせる一冊でもある。2022/12/30
ユウ
18
好奇心旺盛な主人公の青年がひとりの女の素性を調べる内に殺人事件が起こり,女の周囲を徹底的に調査する。展開が面白く,松本氏らしい情緒溢れる描写に魅了される。また主人公の青年の人物像もブレが無くて好ましい。しかし殺人の動機がいまいちしっくり来なくそれまで非常に面白かっただけに少し肩透かしを食らった読後感。2014/12/30