内容説明
明智小五郎、金田一耕助、神津恭介の三大名探偵が華々しく活躍した時代から今日まで、日本のミステリーは名探偵の歴史でもあった。だが、不遇にしてその名を残すことなく、時代の潮流に埋没していった探偵も少なくなかった。本書は「新青年」など戦前の雑誌に書かれた膨大な作品群から、読み応えのある魅力的な探偵たちの中短編を精選した傑作アンソロジー第一集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
69
日本が誇る三大名探偵と言えば、明智小五郎、金田一耕助、神津恭介と名前が挙がります。しかし名探偵、何も彼らだけの専売特許ではなく、大衆に知られる事なく姿を消した幻の名探偵がいた筈です。そんなコンセプトで、本作は作られたのでしょうが、読んでみると三大名探偵が如何に魅力的な優れたキャラクターの人物であるかが分かります。それでも海野十三氏の帆村荘六や甲賀三郎氏の木村清などは、押さえて間違いないだろう。反面印象が薄い、この人物でなくても良いのではないかと、感じる作品も在る。唯どれも、緩やかでどこかほっとする作品だ。2016/06/25
優希
41
戦前の探偵小説のアンソロジー。タイトルに惹かれ、手にしたので知らない作家ばかりでした。探偵小説が人気のあった時代の作品というだけあり、読み応えがあり、面白かったです。2025/07/29
HANA
40
大正の名探偵アンソロジー。ここに登場する名探偵の群像を見ていると、何故彼らが忘れ去られたのか何となくわかるような気がする。明智小五郎や金田一耕助はキャラの立ち方はもちろんのこと、この事件は彼でなければいけない。という場所を持っているように思える。翻ってこの本の作品群だと、別の事件の探偵と入れ替えても気がつかない。どうも個々人が薄いのである。山下利三郎の「素晴らしや亮吉」が唯一それに近い感じか。甲賀三郎や木々高太郎は流石の出来だけど、特に後者は探偵がほとんど絡んでこないし。名を後世に残すのは何とも難しい。2013/07/08
やっす
4
う~ん、これはちょっと・・。『幻の名探偵』なんていう魅力的なタイトルとは裏腹に収録作の出来は期待ハズレというところか。もっと本格味の強い探偵小説を想像していただけに残念です。勝手にそんな期待を抱いた自分も悪いのですが。w ただし、守友恒『青い服の男』だけは別。まず探偵が以前関わった事件を語り聞かせるという構成が良い。某巨匠の歴史的名作を想起する複雑な事の真相と、手がかりを理論的に分析・推理していくスタイルにも好感が持てる。この作者の他の作品がますます読みたくなった。2014/07/13
s - bill
1
乱歩、横溝、虫太郎、十蘭…等が好きなら、やはり読んでみたくなる短編集です。しかし…他の方もおっしゃっていますが、正直、読後のインパクトは薄いですかね…。そもそも短編なので、解決までがアッサリしていて、長編のような、読んでいてワクワクドキドキというのはあまりなかったです。これを読むと、逆に乱歩のすごさがわかる、そういう意味で読んでみる価値があるかと思います。あとはミステリーファンであれば、知識として知っておきたいという意味で、ありがたい編集でした。2023/10/28




