内容説明
妹の春佳から突然かかってきた電話。それは殺人の告白だった。かわいい妹を守るため、有坂香織は事件の隠蔽を決意。廃品回収業の金髪青年を強引にまき込んで、死体の捨て場所探しを手伝わせることに。さんざんさ迷った末、山奥の水底に車ごと沈めるが、あれ?帰る車がない。二人を待つ運命は?探偵・鵜飼ら烏賊川市の面々が活躍する、超人気シリーズ第五弾。
著者等紹介
東川篤哉[ヒガシガワトクヤ]
1968年広島県尾道生まれ。岡山大学法学部卒。’96年から公募アンソロジー『本格推理』『新・本格推理』に短編を発表。2002年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「Kappa‐One」第1弾に選ばれた『密室の鍵貸します』で、本格デビューを果たす。’11年には『謎解きはディナーのあとで』が第8回本屋大賞に選ばれ、大ベストセラーとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
91
【烏賊川市】シリーズ第5弾。突然の流れで、死体を何処かに遺棄しようとする男女と、とある依頼から事件を未然に防ごうとする鵜飼たち主人公グループ。お互いのパートを往き来しながら物語は進み、やがて連続殺人事件へと発展していく。いつもながら東川氏の作品は、映像を観ている様に頭の中でイメージがハッキリと流れる。まるでその場所に自分がいるが如く、空気の流れを感じるられるのだ。物語はドタバタと一気に駆け抜け、あちらこちら向いていたものがスッキリと解決するのは作者のセンスの良さ。全てをのみ込んで哀愁漂うラスト、好いです。2020/10/02
ヒロユキ
80
メイントリックは大がかりなわりにどちらかと言えば短編向きな感じの小粒なものだけど、鉄平&香織サイドの死体遺棄と交わることでトリックの最大限の意外性が引き出せてるような構成ですね。ご都合主義展開には許せるもの許せないものがあるけれど、許せる側のこのシリーズだからこそ始まりからラストまでの演出がハマってる感じです。今作ほとんど出番がなかった志木刑事、次回長編大活躍への前フリなのかな(笑)烏賊川市シリーズのなかでなにげに一番好きかも。2012/12/06
Rin
77
【図書館】今回は先が気になって、どんどん読める内容だった。途中では本当に、そんなことで死体を捨てないで!と思ってしまった。それぞれ別の事件が進んで、どこで繋がるの?と思いながらもユーモアたっぷりのすれ違いに、勘違いが楽しくて。ついつい謎を考えるのを忘れてしまっていた。とはいえ、今回の謎は難しくて、まったく分からなかった。深刻な場面でも笑いが必ずついてくる。頭で想像するとより楽しめる、という何とも楽しい読書時間。ゆるくて、でもちゃんとミステリ。重たい本の間についつい挟みたくなるシリーズですね。2017/04/27
猿吉君
73
烏賊川市5作目、いつものメンバーが引っ掻き回しつつ謎を解明していきます。①鵜飼さん達が登場するまではちょっと我慢が必要。②謎は解明するとなるほど、それでああいう場所なのか!と納得できました、非常に大掛かりで特にクライマックスは読み応えがありました。③志木刑事が可哀想過ぎます、流平君もやられまくってます。点数80/100→今回はどんな謎なのかを楽しむ事がメインでキャラクターは正直マンネリ、しかしながらそこが案外心地よかったりします。2022/10/17
saga
64
アパートのドアの施錠をしっかりしなかったがために殺人事件に巻き込まれた女子大生。しかし、気が付いたら仙台に(逃亡して)いた(笑)。そんな彼女は、姉に救いを求めるも、殺人を犯してしまった妹を守るためという勘違いから、事件の隠蔽と短絡してしまうことで、この物語が俄然面白くなっていく。香織と鉄男という小心者の死体遺棄犯と、鵜飼探偵たちが引き寄せられるように集まったクレセント荘で起こった殺人事件。輻輳する事件が大きな渦を作ってまとまっていくのも流石な展開。被害女性が、死してなお事件解決に一役買った結末も良かった!2022/02/05