内容説明
田沼意次の時代から寛政の改革へと続く江戸中期。大災害や大飢饉などで経済的に疲弊しながらも、江戸文化を彩る花形スターが多数登場した。戯作・狂歌を代表する平秩東作、大田南畝、山東京伝の三文人もまた、この流れから生まれ出た。滑稽と風刺を武器に、反骨者三人は激動の時代をどう生き、どう破れていったのか。企業小説の名手が新たな視点で描く連作小説。
著者等紹介
高任和夫[タカトウカズオ]
1946年宮城県生まれ。東北大学法学部を卒業後、三井物産に入社。審査畑を歩みつづけるかたわら、’85年『商社審査部25時』で作家デビュー。’96年に依願退職し、以後、作家活動に専念する。企業、組織に対する厳しさと、人の弱さに対する温かさを併せ持った視線は、経済企業小説のジャンルを超えた著者独自の作品世界をつくっている。また、近年は、経済小説的手法による歴史小説を発表し、高い評価を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
12
平秩東作、太田南畝、山東京伝のそれぞれの立場に視点を置いた三篇からなる連作小説。情感を排した描写なのでサラリーマン小説的な雰囲気がある。南畝を描いている部分で意外に普通の雰囲気の近藤重蔵が登場したり、いかにも京都人っぽい上田秋成が登場したりして楽しく読めた。2018/05/08
kan
2
平秩東作、大田南畝、山東京伝の伝記。天明期に勃興し松平定信の寛政の改革で一旦中断、化政時代に花開く江戸文化を三人の戯作者伝により概観。定信に比べ田沼時代を評価。2012/11/07
えるまぁ
2
天明から寛政にかけて活躍した平秩東作、大田南畝、山東京伝の三人をオムニバス形式で描き出した名著。三人三様に描かれていて、とにかく面白い。小説とはこういう視点であるべきだ。当て馬?として滝沢馬琴がこき下ろされているあたりもなかなか素敵。人間の交友関係とはこういうものだ、と思わされつつ、楽しんだ一冊だった。2012/10/01
アンコ椿
1
平秩東作の名ははじめて聞いたな。作者の高任先生は企業ものから時代小説へいつ転身したのか? あまり上手くないわ。2025/02/18