出版社内容情報
娘が被害者となった傷害事件の裁判。証人として法廷に立つ父親は、いつしか加害者に肩入れしている自分に気づく。(「立ち向かう者」)内心に鬱屈を抱え、最近、酔い方が酷くなった地方局の人気アナウンサーは、思い切った決断をするが……。(「悪酔い男」)ほか、傑作7偏。
内容説明
娘が被害者となった傷害事件の裁判。証人として法廷に立つ父親は、いつしか加害者の男性に肩入れしている自分に気づく(『立ち向かう者』)。卑猥語の連発に絡み酒。最近、酔い方が酷くなった地方局の人気アナウンサーは、内心に鬱屈を抱えていた。人生の曲がり角で思い切った決断をする彼だったが…(『悪酔い男』)ほか、人生の断片を鮮やかに切り取った傑作全七編を収録。
著者等紹介
東直己[アズマナオミ]
1956年札幌生まれ。北海道大学文学部哲学科中退。’92年、ススキノを舞台にした『探偵はバーにいる』(早川書房)で作家デビュー。以降、このススキノ便利屋シリーズを発表し続け、気鋭のハードボイルド作家として注目を浴びる。2001年には『残光』(角川春樹事務所)で第54回日本推理作家協会賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hanchyan@つまりはそういうことだ
26
んで、こちらは2000年代に出た短編集。やー。全ての「立ち向かう者たち」に幸あれかしと心から、て感じ。直前に再読した短編集に比べ、純文学っぽくなってる印象。主な掲載誌が「モーニング」から「アフタヌーン」へ変わった岩明均さんみたいな感じか。わかりづらっ(笑) 「立ち向かう者」偏見や憐れみの視線に曝され続けて生きてきた知的障害者。「作り話」サンタの存在について(笑)愛息に嘘をつきたくない父親と、望みのプレゼントを父親に知られたくない子供。「悪酔い男」中年期ならではの鬱屈から逃れるために独立し、零落する恩人。2022/04/30
みすまりも
10
いやぁ短編集だけど、どれもけっこう後味悪い。ひとつひとつの話の主人公が、壊れかけてるというか壊れちゃってるというか…。そんな中で、最後の「ケンシの人」に救われた感じ。2014/04/22
なっち
6
初読みの作家さん。7編からなる短編集。面白かったです。『立ち向かう者』のラストは胸にズシンとくるものがありました。疑惑・責任も良かった。今度はこの著者の長編にチャレンジします!2013/09/02
merry
5
世間や自分の弱さといった様々なものに立ち向かう者たちの短編集。やるせない気持ちにもなりますが、主人公にがんばれ!と言いたくなったり、自分が励まされたりされる素敵なお話ばかりでした。派手なアクションや展開は無いからこそ、身近に感じられます。2012/11/05
MIEKKO
5
派手な謎解きやだるそうなアクション一切なし。淡々と人と市井の事件に向き合ったようなそんな作品集。世の中って厳しいなーとふと思ってしまった。2012/10/25