内容説明
環境省技官の七倉航は、野生鳥獣保全管理センターの八ヶ岳支所に赴任してきた。昔気質の猟師や急進的な動物愛護団体との軋轢、娘・羽純への苛め…。七倉の悩みは尽きない。さらに、老夫婦が野生動物に襲われ死傷。地元猟師が巨大獣に食い殺される事件が。“稲妻”と呼ばれる巨グマの仕業なのか?だが、そこには、稲妻さえもが懼れる怪物の痕跡があった…。大藪春彦賞、日本冒険小説協会大賞W受賞。
著者等紹介
樋口明雄[ヒグチアキオ]
1960年、山口県生まれ。南アルプス山麓に居を構え、執筆する日々を送っている。2008年に上梓した『約束の地』(光文社刊)で、第27回日本冒険小説協会大賞と、第12回大藪春彦賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小梅
83
戌年に犬本6冊目。巨大な熊〝稲妻〟がカッコイイ!続いて下巻を読みます。2018/02/14
鈴
45
熊バトル本読みたいなぁ~と手にとった。が、熊だけじゃなくてビックリ。『稲妻』『三本足』と人間との戦い。もとはといえば人間が悪いんだよなぁ。自然破壊は罪深い。2018/06/13
翔亀
44
著者はB級アクションものを数多く出しているが、本書は南アルプスに移住した著者の体験に基づいているだけに、クマやイノシシなどの野生鳥獣と人間の共生の、理論と現実をリアルに描き出している。生物多様性に眼を向けた「保全生態学」によりワイルドライフ・マネージメントを行う近未来の組織に「2年間の期限」で赴任した官僚技官・七倉が、旧弊な山村の社会構造や、マタギの伝統とレクリエーション狩猟の相克を、乗り越えていく、という設定がよい。野生鳥獣の置かれた現実がよくリサーチされ、かつ血湧き肉踊る「仕事小説」でもある。 2016/04/02
アイゼナハ@灯れ松明の火
40
文庫化待望してました!!大薮春彦賞・日本冒険小説協会大賞W受賞の樋口明雄作品。クマ撃ちの話なのかと思いきや…環境省所管の野生鳥獣保全管理センター(WLP)の管理官たちの活躍を描いています。自然を愛するということはその厳しさを含めて愛するということ。共に暮すということは人間にとって住みやすい環境を作り出すこととはまた違うし、反発も覚悟しないといけないんだろうね。野生鳥獣との棲み分けを研究する機関が板挟みになる現実は辛いなぁと思ってたら、ラスト近くで次々と事件発生。こいつァ先が気になるぜ、という訳で下巻へ。2011/11/19
AICHAN
28
図書館本。里山での鳥獣被害が増え、狩猟者の高年齢化が進み、害獣被害を捕殺だけで乗り切るのが困難になってきたた。そのため国は新しい法律を作り、野生鳥獣保全管理センター(WLP)という役所を設置し、奥山の鳥獣の生態をより明確に把握し奥山の自然を整備し、動物たちと人間との棲み分けをはっきりさせることになる。しかし、狩猟はWLPの許可を得て行わなくてはならなくなり密猟が増える。こうした状況の中、環境庁キャリアがWLP八ヶ岳支所に所長として赴任する。外国の制度を参考にしたフィクションのようだ。2016/12/09
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