内容説明
和久山隆彦の職場は図書館のレファレンス・カウンター。利用者の依頼で本を探し出すのが仕事だ。だが、行政や利用者への不満から、無力感に苛まれる日々を送っていた。ある日、財政難による図書館廃止が噂され、和久山の心に仕事への情熱が再びわき上がってくる…。様々な本を探索するうちに、その豊かな世界に改めて気づいた青年が再生していく連作短編集。
著者等紹介
門井慶喜[カドイヨシノブ]
1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒。2003年、「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょこまーぶる
183
大変興味深く読み進めた一冊でした。図書館のレファレンス・カウンターの仕事をしている若者の仕事を通して、本と人間との関係の重要性を考える機会になりましたね。もちろん、昨今の財政難による図書館廃止論に立ち向かう姿にも「頑張れ~」と思ってしまう内容でした。若者が、市の委員会で図書館の必要性を発言する場面の彼の言葉には民間機関には無い公共機関としての使命が明確に表現されていて、納得するものがありましたね。また、廃止論を翳している新館長が実際には本を愛しているであろう言動が垣間見え、とても共感できた人物でしたね。2017/04/13
射手座の天使あきちゃん
157
マイナー過ぎませんか!?「おさがしの本」(笑) 市立図書館のリファレンスカウンター係の主人公が依頼人の本を探し当てる話かと思いきや、図書館の是非を巡る論争にすり替わったり(読書メーターファンに宣戦布告? <(^_^; ) びみょう!、でも潟田館長のキャラ設定は結構好きかも(笑)2012/03/03
おしゃべりメガネ
155
雑誌『ダ・ヴィンチ』で知り、読んだ本です。図書館のレファレンス・カウンターで働く人のお話、とは一言でくくれないような展開で、いい意味で裏切られ面白かったです。図書館での静けさをそのまま活字、そして文章に移行した‘つくり‘は、とてもステキに‘しっとり’していて、図書館のもつ独特な雰囲気をあますことなく伝えてくれています。我々、読書をこよなく愛する?ものからすれば、図書館は‘普通’なのかもしれませんが、改めて図書館の存在自体の‘ありがたみ‘を5編の連作から、知ることができたような気がします。是非ご一読を!2012/03/18
hiro
126
図書館員が主人公ということで読んだ。内容は、財政難による図書館廃止を絡めた市職員の図書館員のお仕事小説で、定番の主人公の成長譚も含んで面白く読んでいたが、終盤の市議会での主人公の発言「ただただ買うためのお金がもったいないというだけの理由で人気作家の新作をごっそり借り出す老人もいます。個人的にはたいへん情けなく思う。しかし、そういう人はそういう人」を読んで白けてしまった。一度に読めないほどの本を借りることに問題があるのならば言葉足らずで、図書館員としての主人公の発言としては失格で、大変腹立たしかった。2015/01/09
優希
110
面白かったです。図書館のレファレンス・カウンターを勤める和久山と様々な人々との関わりで本や図書館の魅力に改めて気づかされました。財政難から図書館廃止の噂が立ってからの仕事への情熱が、図書館の豊かな世界へ誘っているようでした。図書館の裏側の事情も分かるし、様々な本が出て来るのも楽しいです。政府との対立が明確で陰鬱でないのでサラリと読めるのがいいですね。爽やかな読後感です。2016/03/16
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- 和書
- アシスタント 新潮文庫