内容説明
犯罪王モリアーティ教授の組織にいる人物から届いた、暗号手紙。その謎をみごとに解いたホームズだが、問題の人物ダグラスはすでにバールストン館で殺されていた。奇怪な状況の殺人を捜査する謎解き部分(第一部)と、事件の背景となったアメリカの“恐怖の谷”におけるスリルとアクションに満ちた物語(第二部)の二部構成による、傑作長編。
著者等紹介
ドイル,アーサー・コナン[ドイル,アーサーコナン][Doyle,Arthur Conan]
1859‐1930。イギリスのエディンバラ生まれ。ロンドンで医師として開業するが成功せず、以前から手を染めていた小説の執筆に専念、ホームズもので大人気作家となる。また、映画にもなった『失われた世界』をはじめとするSFや、歴史小説など、数多くの作品を残した。実際の殺人事件で容疑者の冤罪を晴らしたこともあり、晩年は心霊学にも熱中した。ナイト爵をもつ
日暮雅通[ヒグラシマサミチ]
1954年生まれ。青山学院大学卒。翻訳家。日本推理作家協会、日本シャーロック・ホームズ・クラブ、ベイカー・ストリート・イレギュラーズの会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
65
〔再読〕ホームズ最後の長編作品。ドイル氏の得意の2部構成で、1部でホームズが謎を解くミステリーを。2部はその事件の背景となる、スリルとアクションの物語となります。ホームズが登場しない2部が、本作の半分を占めるという特徴的な作品です。私は嫌いではないですがホームズ物を始めて読む方は、本作の形式を知っておいても良いでしょう。エピローグには残念な結末だと思うのですが、これにてモリアーティ教授との対決、有名なワンシーン、「シャーロック・ホームズの生還」へと物語は続きます。本シリーズは再読に適している、と言えます。2016/12/16
藤月はな(灯れ松明の火)
44
今巻は1部で暗号解読などの謎解き、2部では冷酷な鉱山支配者と過酷な状況に置かれても尚、尊厳を失わない鉱夫達の闘いという社会的ハードボイルドなアクションと一粒で二度、美味しい構成となっています。でもせっかくのどんでん返しがあったのに一気に苦い結末に変わったのが悔しくてなりません。それにこれがかの有名な「ライヘンバッハの滝」へと繋がるかと思うと・・・・。社会的な活躍によって裏社会の黒幕という顔を隠し、暗躍するモリアーティ教授が不気味。2015/05/27
hiro
40
森見さんの『シャーロック・ホームズの凱旋』を読み、小学生の頃に児童向け、高校生では文庫本を読んでいたが、もう一度全作を読みたくなり三度目のホームズシリーズとして、21世紀の読者向けという光文社文庫を読み出した。長編最後のこの『恐怖の谷』も、長編でよくある二部構成の作品だった。第一部の殺人事件は驚くような結末ではなかったが、第二部はアメリカの犯罪組織のハードボイルド小説だという印象が強く、この作品も二度読んでいるはずだがあまり記憶に残っていないかった。しかし今回読み終えてホームズ物の幅の広さを改めて感じた。2025/05/06
KAZOO
38
何度も読んでいますが、新訳で読むとまた感じが変わります。長編であり、あまりホームズが出てきませんが、ストーリーとしては結構2部構成になっていて面白いと思いました。場所もアメリカでの場面があり、従来のホームズ者とはちょっと毛色が変わっています。2014/08/04
aika
34
ホームズシリーズ最後の長編、読みごたえも一番でした!イギリスの田舎の巨大な洋館で起こった惨劇に挑むホームズとワトソン、そして愉快な警察官たち。ドイルのホームズシリーズの長編ではおなじみの二部構成で、真犯人がなぜ犯罪を犯すに至ったのか、その全てが第二章で描かれるこのスタイル、大好きです!秘密結社で繰り広げられる殺人、そして人間味の欠いた恐ろしい組織のメンバーたちの暗躍に、二部の方がハラハラドキドキしました。事件のトリックや顛末だけでなく、その背景を濃く描くホームズシリーズの中でも、一番の、まさに力作でした。2016/12/23
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