内容説明
急死したサー・チャールズ・バスカヴィルの死体のそばには、巨大な犬の足跡があった。ダートムアのバスカヴィル家に伝わる魔犬伝説は、ほんとうなのか?遺産相続人サー・ヘンリーの依頼で、ホームズは捜査を開始する。はたして、先に現地に乗りこんだワトスンを待ち受けていたものは?これまで何度も映画化された、最も有名で人気のある長編。
著者等紹介
ドイル,アーサー・コナン[ドイル,アーサーコナン][Doyle,Arthur Conan]
1859~1930。イギリスのエディンバラ生まれ。ロンドンで医師として開業するが成功せず、以前から手を染めていた小説の執筆に専念、ホームズもので大人気作家となる。また、映画にもなった『失われた世界』をはじめとするSFや、歴史小説など、数多くの作品を残した。実際の殺人事件で容疑者の冤罪を晴らしたこともあり、晩年は心霊学にも熱中した。ナイト爵をもつ
日暮雅通[ヒグラシマサミチ]
1954年生まれ。青山学院大学卒。翻訳家。日本推理作家協会、日本シャーロック・ホームズ・クラブ、ベイカー・ストリート・イレギュラーズの会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セウテス
71
〔再読〕ダートムアの名家パスカヴィル家には、17世紀に当主が巨大な犬に噛み殺されたという伝説が伝わっている。本作は現当主が不審な死を遂げ、遺体近くに巨大な犬の足跡が見つかった事から始まる。依頼を請けたホームズが調査に乗り出すと、次期当主を狙う悪意が存在する事に気付く。推理小説ではなく、冒険小説であろう。序盤でホームズが後手を踏み、かなり厄介な敵であると印象付け、後半に一気に明らかにする構成の巧さこそ、ドイル氏の筆力の成せる技だろう。恐ろしくも郷愁を感じるダートムアは、「赤毛のレドメイン家」の舞台でもある。2016/03/14
藤月はな(灯れ松明の火)
52
怪奇小説とミステリーの両方が好きな人には堪らない傑作。しかも終盤になるまでホームズ不在なのに逆にそれが緊迫感を高めているのが凄い!以前、「最高のホームズ」と名高い俳優であったベイジル・ラスボーン(本人は「俳優・ベイジル・ラスボーン」ではなく、「シャーロック・ホームズ」と見なされるのが嫌だったらしい)が演じた映画版『バスカヴィルの犬』を見たことがありますが、映画もおどろおどろしくて素晴らしかった・・・・。2015/05/25
hiro
50
森見さんの『シャーロック・ホームズの凱旋』を読んでシャーロック・ホームズの原作を再読したくなり、この光文社文庫の新訳ホームズ全集を読み出した。この作品は長編四作の中でもっとも記憶に残っている作品だったので結末も覚えていたが、ホラーミステリーとしての面白さもあり十分楽しめた。さらの巻末の日暮さんの解説と島田さんのエッセイで、この作品がドイルとバートラム・フレッチャー・ロビンソンとの共作といわれていることを初めて知って、ホームズのシリーズの中で少し違った味わいがあることに納得した。残りはあと三冊。2025/03/23
KAZOO
49
もう何度目なんでしょうか?最初に読んだ時の衝撃からは大分印象が違ってきて別の観点で読みなおしています。まあ当時としては非常に怪異的な感じもあったのでしょうが。新訳もいい時があるのですが、このような内容だと若干怖さが薄れる感じがしました。2014/10/20
aika
42
ホームズシリーズでも人気の作品、との評判もうなずけます。呪われた一族の魔犬伝説に挑む、ホームズとワトソンの名コンビ。特に、助手のワトソンは、ひとりで依頼人サー・チャールズを守る為に、広大なムアで勇気を振り絞って大活躍!次々と出てくる怪しい人物、狡猾で残忍な敵、そして恐ろしい魔犬との戦いにドキドキハラハラの連続でした。解説では、ドイルがホームズシリーズを「最後の事件」で終わらせようとしたのに、「バスカヴィル家の犬」で復活させた立役者にスポットライトが当てられていて、裏話まで楽しめました。2016/11/28