内容説明
両親を火災事故で失ったエミリーは洗礼親である後見人に引き取られることになった。だが彼女を待ち受けていたのは、引受先の家庭での性的虐待であった。しかし、果たしてその虐待の事実はあったのだろうか?疑問視し、エミリーの心の深層を探ろうとするフロイトだったが…。やがて後見人の転落死体がアルプス山中で発見され、依頼を受けたホームズが真相解明に乗り出す。フロイトとホームズが奏でるパスティーシュ。コモンウェルス文学賞最優秀新人賞受賞作。
著者等紹介
オートリー,キース[オートリー,キース][Oatley,Keith]
1939年ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学、ロンドン大学などで心理学を専攻。1990年、カナダのトロントへ移住。現在はトロント大学で応用認知心理学の教授を務める。『脳のしくみと心』(1977年、TBSブリタニカ)の邦訳がある他、専門論文、研究書多数。『ホームズ対フロイト』は初めての小説で、1994年にコモンウェルス文学賞最優秀新人賞を受賞し、その後、フランス語、ドイツ語に訳された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
負け猫
6
心理学と推理の名士が一冊で読める!と買ってみた。第一部で、フロイトと患者エミリーのやり取り、エミリーの日記。これが若干退屈で読むのやめようかとも思ってしまった。第二部で、ホームズの推理。ここからだいぶ面白くなってくる。ただ、個人的には、若干退屈だった。ワトスン君はかわいい。2013/05/11
ぽま
6
心理学者の筆によるものだけあって、心理学的見解が素晴らしく、説得力がある。フロイトの著書や論文に目を通したことのある方なら、更に楽しめると思われる。また、翻訳監修を行った小林司氏もまた心理学者であり、日本を代表するシャーロキアンであるので、翻訳に関しても鉄板の出来。個人的には、『なぜホームズが事件の無い時にはあれほどにまで気分が落ち込むのか』についてフロイト教授が推察するシーンは印象深かった。なお、邦題には「対」と銘打っているが、別段この二人が対決したりするわけではないので注意。2012/02/01
鐵太郎
5
シャーロック・ホームズとジークムンド・フロイトとの出会いは、1974年に発表されたニコラス・メイヤーによる「シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険」と言われます。このお話は、ホームズ・パスティーシュとして優れたものでしたが、歴史的背景を見るといささか問題があります。それに対し、1993年に書かれたこの本は、心理学教授であるとともに多才で豊富な知識を誇るキース・オートリーの処女作です。書かれた年齢を考えると、ある意味で手すさび、ある意味で長年の夢の結晶と言えるのかも。2006/10/14
みどりむし
1
原稿の中に余白があったら負けと思ってるのかと感じる程文字が多い。小説ではなく論文を読んでる錯覚を起こす。女性の性的欲求や同性愛がテーマだったけど共感できず。作者のデュフ感が滲み出てて無理。スーパーサラ読み40min.2022/09/18
THE_SENGEI
1
表題につられて手に取った本。というのも、『素敵な冒険』はおろか、実はホームズを読むのも初めてだったながら、精神分析家もその批判者も精神分析の営みをdetectiveになぞる(作中でもそう喩えられるシーンがある)ことがあるのを知っていたので意外な取り合わせという程ではなかった。言い換えれば表題からどんな本かを想像する余地があった。 その表題から想像していたのはヴィクトリア気質の最右翼のdetectiveホームズと、反ヴィクトリアのパイオニアのdetectiveフロイトの対決、というものだった。2019/03/16
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